Sixth Report: The CMO/OAA Observations made during the one-month period from
16 March 2003 (153°Ls) to 15 April 2003 (169°Ls)
Based on the
OAA Mars Section article published in CMO #271 (
南 政 次 (Masatsugu
MINAMI, Director of the OAA Mars Section)
♂・・・・・16Marには火星の視赤緯は−23.5°で最低の位置を指していたが、以後回復し始めた。今回は
16 Mar 2003 at λ=153°Ls から 15 Apr 2003 at λ=169°Ls.
迄を扱う。視赤緯は15Aprには−22°まで回復した。中央緯度φは6°Sから13°Sまで變移した。位相角ιは39°から42°へ伸びた。視直徑δは6.7"から8.3"になっている。海外では四月後半から觀測數が伸びて來ているが、この時點では唐那・派克氏の活躍が目立つのみである。
♂・・・・・・今回の觀測報告は次の様になっている。DPk氏の他では、日本ではMo氏の活躍が目立つが全體に低調である。春口、氣候が未だ好くないからであろう。(テネリフェのDPc氏英國に戻っていて觀測は送られてこない。八月末のバルバドス(トリニダードトバゴの北)での計畫だけ聞いている。)
FRASSATI,
Mario マリオ・フラッサチ (MFr) 義大利 Crescentino, Italia
1 Set of Drawings (25 March
2003) 250×20cm SCT
ISHADOH, Hiroshi
伊舎堂 弘 (Id) 那覇 Naha, Okinawa, Japan
1
Drawing (22 March 2003) 340×31cm
speculum
MINAMI, Masatsugu
南 政 次 (Mn) 福井・三國 Mikuni, Fukui, Japan
38 Drawings (18, 20, 22, 23, 26, 29 March; 6, 10, 13,
400, 480×20cm
ED Goto refractor*
MORITA, Yukio
森田 行雄 (Mo) 廿日市 Hatsuka-ichi,
Hiroshima, Japan
15 Sets of CCD Images (20,
22, 26, 30 March; 6,
f/50×25cm
speculum equipped with an ST-5C
MURAKAMI,
Masami 村上 昌己 (Mk) 横濱・泉 Yokohama, Kanagawa, Japan
3 Drawings (22, 25 March; 6 April 2003) 320×20cm
speculum
NAKAJIMA, Takashi 中 島 孝 (Nj) 福井
Fukui, Fukui, Japan
14 Drawings (20, 20, 29
March 2003) 400, 480×20cm ED Goto refractor*
PARKER, Donald C ドナルド・パーカー (DPk) 佛羅里達 Miami, FL, USA
12 Sets of CCD Images (16, 18+, 25, 29, 30 March; 11,
f/60×41cm F/6
Newtonian equipped with an ST-9XE
+f/38×25cm Meulon equipped with a ToUcam
PELLIER, Christophe クリストフ・ペリエ (CPl) 法國 Bruz, Ille-et-Vilaine,
France
1 Set of CCD Images (8 April 2003) 18cm spec with a Philips ToUcam Pro
VALIMBERTI, Maurice P モーリス・ヴァリムベルティ(MVl) 澳大利亞 Melbourne, Australia
1 Set of CCD Images (
f/34×35cm
SCT with a Philips ToUcam Pro
*福井市自然史博物館屋上天文臺
Fukui City Observatory
♂・・・・・・南極雲と南極冠:南極雲の發達と南極冠の出現は、大接近よりもその一つ前の接近の時の方が季節的には好い。然し、2001年の場合はφの傾きの關係で觀測が難しかった。その點では、1986年は觀測條件が揃っていた。1969年もφが北寄りで難しく、寧ろ1954年が條件が好かった。
1986年の筆者の臺北での觀測では、λ=145°Lsから150°Lsで南極雲が急速に發達し、λ=156°Lsで南極冠が出現し、λ=160°Ls (24Apr1986、δ=11.3")では南極冠が明白であった。當時東洋からはヘッラスは165°Ls邊りで見えてきたが、未だ白味を帶びていた。λ=176°Lsでは既に内部構造が見えていた。
大接近という意味で、1988年の筆者の紀録を見ると、λ=160°Lsでは南極雲/南極冠が未だ小さくλ=166°Lsで南極冠を確認している(22Mar1988δ=6.4"、この時點では未だ臺北には行っていない)。λ=168°Lsでは南極冠の上部の凹みを見ている。一方1971年の宮本正太郎氏の觀測では、南極冠の初見はλ=161°Lsに行われている(11Apr1971、δ=8.7"、φ=10°S)。
南極雲/南極冠は今回の時期がこの前段階に當たり、大まかには1986年の動向に似ていた。今年はλ=135°Lsでは南極雲は小さく目立たないが、λ=145°Lsから150°Lsで急速に大きくなり(φが南を向くことにも依る)、λ=155°Ls (20Mar2003、δ=6.9")で南極冠が確定し、λ=160°Lsでは明白であったと見ている。視直徑が1986年よりも小さく細かなニュアンスは分からない。南極冠は福井からの觀測では22Mar2003(λ=156°Ls)においてもっと確かで、Mnがω=303°W、313°W、322°W、332°W、342°W、351°Wと追い、Nj氏がω=308°W、318°W、327°W、337°W、347°Wと觀測している。ヘッラスは夕方で未だ鈍く白いが、デプレッシオネス・ヘッレスポンティカエが濃く、南極冠の境界は明確になってきている。同日、Mk氏がω=330°Wで觀測、南極地域は青白く明るく、デプレッシオネス・ヘッレスポンティカエの所爲で領域を確定しているほか、Id氏もω=338°Wでダークフリンジに囲まれた南極冠領域を捉えている。但し、當然春分前だから燦然とはしない。筆者の觀測では、29Mar(λ=159°Ls)ω=274°Wなどでは南極冠部の東端が明るく、未だ南極雲が一部動いているという印象であった。四月に入ってからは、南極冠域は安定している。唐那・派克(DPk)氏の像では29Mar(λ=160°Ls)ω=118°W、30Mar(λ=160°Ls)ω=111°Wでは綺麗な南極冠が映し出されている。Mo氏の畫像でも20Mar(λ=155°Ls)ω=357°W、003°Wや22Mar(λ=156°Ls)ω=335°WのR像などには出ていると思われる。30Mar(λ=160°Ls)のR像にも弱いながら出ている。こういう場合LRGB像より、RGB像が好いでしょう。暗色模様描冩のためRの露出を切りつめ、雲の描冩のためBの露出を長くするというのは、こういう場合適切ではない。殘念ながらこういう機會はもう十五年ほど來ない。
デプレッシオネス・ヘッレスポンティカエ: この濃化については既にDPk氏の8Mar(λ=149°Ls)の觀測で報告したが、同じくDPk氏は14Apr(λ=168°Ls)ω=302°W、311°W、319°W、322°Wで極めて鮮明な像を得ている。シヌス・サバエウスより遙かに濃い。但し、デプレッ
オリュムプス・モンス: ヴァリムベルティ(MVl)氏の5Apr(λ=164°Ls)ω=166°Wには夕端にオリュムプス・モンスが雲を被って見えている。δ=7.8"に關わらず、この像ではプロポンティスIが、HSTで見られるような形を顕している。ToUcamはIRに強い。但しB光でも出るのは餘計。
トリナクリア邊り:マレ・ハドリアクムが黄塵を被って消失し、ヘッラスの東側の境界が淡化している上、トリナクリアを挾んでマレ・テュッレヌムの本体も痩せている。Mo氏の30Mar(λ=160°Ls)ω=252°Wなど。
ケラウニウス?: 筆者(Mn)の觀測では13Apr(λ=168°Ls)、15Apr(λ=169°Ls)にはケラウニウスまたはその南に暗線が見えた。13Aprω=110°Wには暗斑が見えたので、往年のアスクラエウス・ラクスかも知れない。30Mar(λ=160°Ls)のDPk氏のR像には出ているかも知れない。尚、フラッサチ(MFr)氏の觀測に依れば、25Mar(λ=158°Ls)ω=072°Wにはこの邊りに明るい斑點が出ている。
クリュセ:福井の觀測では20Mar(λ=155°Ls)ω=001°W、22Mar(λ=156°Ls)ω=332°W~352°Wで朝方のクリュセに朝霧が出ている。やや黄色味を帶びている(福井では22Marの朝方ドームの外は−1°Cになった。昨年と偉い違いである)。22MarのMo氏の像にはBだけでなくいずれにも少しずつ出ている。DPk氏の11Apr(λ=167°Ls)の畫像にも見られる。GとBが同じ。
その他:マレ・アキダリウムがMo氏の20Mar(λ=155°Ls)ω=003°WのR像の朝方に、古典的な姿で全體が出ている。肉眼では北極域の白雲の爲、短く見える。シュルティス・マイヨルは非常に濃い形でccdには出ている。Mo氏の26Mar(λ=158°Ls)ω=295°W、フランス(ブルターニュに近いところ)のCPl氏の8Apr(λ=165°Ls)ω=305°Wなどで太く出ている。今のところ、DPk氏の14Apr(λ=168°Ls)ω=302°Wが一番詳しいが、詳細は少し先になるであろう。ソリス・ラクスの邊りについては、DPk氏のところは三月末に機會があったようだが、29Marω=099°Wの時點ではシーイングが4/10だったようである。福井では15Apr(λ=169°Ls)ω=083°W前後で瞥見出來た。ダエダリアにはパーシスの太くなったような筋が南から垂れ下がっている。詳細は先である。
♂・・・・・・次回は16
April 2002 から15 May 2003 (λ=186°Ls、δ=10.7")迄をレヴユーします。觀測締め切りは次回まで15日ですので、報告等は16日以後直ちにお送り下さい。ccd像などは處理後jpgファイルでInternet用に直ぐMnにemailでお送り下さい。
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