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rd Report:
2004年一月後半~二月前半(16 Jan ~
15 Feb)の火星面觀測
The CMO/OAA
Observations made during the fortnight period from
16 January 2004 (334°Ls) to 15 February 2004
(351°Ls)
An OAA Mars
Section article to be published in CMO #288 (25 February 2004 issue)
南 政 次 (Masatsugu
MINAMI, Director of the OAA Mars Section)
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・・・・・・今回から一ヶ月毎のレヴューとし、今號は16 Jan 2004(λ=334°Ls)から15 Feb 2004(λ=351°Ls)迄を扱う。中央緯度φは25°Sから19°Sへ、位相角ιは41°から38°へ、視直徑δは7.5"から6.2"に落ちた。海外では唐那・派克(DPk)氏以外觀測數が落ちているが、日本では少なくとも太平洋側で觀測が續いている。但し日本海側は冬の天候で、觀測の可能であった日にも福井のドームの周りには雪があった。一月22日には三國でも一日中雪が降っていた。但し、晴れれば陽は早く落ち、火星の視赤緯は+7.5°から+14.8°へと昇っているから、四十分觀測では未だ九回可能である(筆者の場合、10 Feb には15:40JSTから21:00JST、Mn-1092D迄)。シーゲル(ESg)さんは南半球旅行から歸って9 Feb から觀測を再開された。
AKUTSU, Tomio
阿久津 富夫 (Ak) 栃木・烏山 Karasuyama,
Tochigi, Japan
3 Sets of RGB Images (+1 B +1 IR
images)(18, 26 January; 8, 10 February 2004)
f/33×32cm spec with a Bitran BJ-41L
IWASAKI, Tohru 岩 崎 徹 (Iw) 小倉 KitaKyushu,
Fukuoka, Japan
22 Drawings (17, 29, 31 January; 9, 10, 12, 15
February 2004)
400×21cm speculum
KUMAMORI, Teruaki 熊森 照明 (Km) 堺 Sakai, Osaka, Japan
29 CCD Images (20, 21, 24, 27, ~29, 31 January; 4, 5,
8, 11 February 2004)
f/40×60cm Cass# with a ToUcam
#ソフィア堺天文臺 Sakai City Observatory
MELILLO, Frank J フランク・メリッロ (FMl) 紐約 Holtsville, NY, USA
3 Red CCD Images (17, 21 January; 5 February 2004)
20cm SCT with a Starlight Xpress MX5
MINAMI, Masatsugu
南 政 次 (Mn) 福井 Fukui, Fukui, Japan
17 Drawings (31 January; 10 February 2004)
480, 600, 630×20cm F/12 ED Goto refractor*
*福井市自然史博物館屋上天文臺 Fukui City Observatory, Fukui
MORITA, Yukio
森田 行雄 (Mo) 廿日市 Hatsuka-ichi,
Hiroshima, Japan
17 Sets of RGB Images (+18 IR images)
(20, 24, 27, ~29, 31 January; 8, 11 February 2004)
25cm spec equipped with an ST-5C
MURAKAMI, Masami
村上 昌己 (Mk) 横濱 Yokohama, Kanagawa, Japan
8 Drawings (18, 28 January; 4, 10, 13 February
2004)
320, 400×20cm speculum
PARKER, Donald C ドン・パーカー (DPk) 佛羅里達 Miami, FL, USA
17 Sets of RRGB Images (17, 23, 26 January;
2, 3, 7, 10 February 2004)
f/59×41cm F/6 spec equipped with an ST-9XE
PEACH, Damian
A デミアン・ピーチ (DPc) Loudwater,
Buckinghamshire, UK
3 Sets of RGB + 6 LRGB Images (16, 24,
27, 29 January; 8 February 2004)
f/31×28cm SCT with ATK-1HS
PELLIER, Christophe クリストフ・ペリエ (CPl) 法國 Bruz,
Ille-et-Vilaine, France
1 Set of RGB Images + 3 IR +1 UV
Images (29 January; 8, 9 February 2004)
35cm
SCT with a modified B&W ToUcam Pro
SIEGEL, Elisabeth
エリサベト・シーゲル (ESg)
丹麥 Malling, Danmark
2 Drawings (9, 11 February 2004)
270×20cm F/10 SCT
TEICHERT, Gérard
ジェラール・タイシェルト (GTc)
法國 Hattstatt, France
2 Drawings (23 January; 13 February 2004)
330×28cm SCT
Van Der VELDEN, Erwin アーウィン・ヴァン・デア・ヴェルデン(EVl)
澳大利亞 Brisbane, Australia
1 CCD Image (14 February 2004) f/29×23cm SCT with a Vesta Pro modified
WARELL, Johan ヨハン・ヴァレッル (JWr)
亞利桑那 Tcuson, AZ, USA
3 Sets of CCD Images (18, 19, 27 January 2004)
f/24×25cm SCT with a ToUcam
♂・・・・・・黄雲のその後:十二月黄雲は浮遊黄塵を遺しているものの最早活動的ではないと考えられる。ただ、パーカー(DPk)氏の17 Jan (λ=335°Ls) at ω=053°W、(055°W)、059°Wに見られるようにアウロラエ・シヌスが分離して見えることや、この像でもそうだが、ヴァレッル(JWr)氏の18 Jan (λ=335°Ls) at ω=084°Wの夕端でもクリュセが稍明るいのは、浮遊黄塵の濃い所爲かも知れない。TESによれば24 Jan (λ=339°Ls)などにウトピア地方で稍弱い擾亂が見られる他、幾つか起こってはいるようだが、地上からの觀測の範囲ではないように思う。ヘッラス内部はまだ可成り殘るが、岩崎徹(Iw)氏は15 Feb (λ=350°Ls) at ω=289°W、299°W、308°Wの觀測でヘッラスには輝きがなく地肌であろうとしている。この頃には殆ど沈下している。
♂・・・・・・ヘッラス:ヘッラスの内部はこの時期、北部の溜まりと西側に明帶が立つことは1990年に日本側からの觀測が多くあるのだが(CMO #113 25 Jan 1992號) Note(3) p988參照)、形としてはピーチ(DPc)氏の16 Jan (λ=335°Ls) at ω=323°W~332°Wや、DPk氏の26 Jan (λ=340°Ls) at ω=337°W~345°Wの畫像に出ているのがこの時期の典型である。ただ、水蒸氣の問題まで追求するほど觀測はこの時期多くない。接近としては2005年の方が適當である。只、ヘッラス上の朝靄はペリエ(CPl)氏の29 Jan (λ=342°Ls) at ω=208°W、212°W、DPk氏の2 Feb (λ=343°Ls) at ω=273°W、279°W、3 Feb (λ=344°Ls) at ω=263°W、270°Wでは上手に描冩されている。日本からは熊森(Km)氏の5 Feb (λ=345°Ls) at ω=357°Wから判る様に夕端にこのころからヘッラスは見え始める。Km氏他の觀測でもヘッラスの像の明るいのは位相角がι=40°だから反射によるものであろうが、Iw氏は9 Feb (λ=347°Ls)、10 Feb (λ=348°Ls) at ω=338°Wなどで、ヘッラスは午後端では南極地域の明るさよりも鈍いとしている。筆者(Mn)は10 Feb にはω=289°W~328°Wまでヘッラスをディスクの内部を觀測しているが、ヘッラス全體は鈍く、北部と西部がいつもの様に明るいという状況であった。ω=318°Wでは明るさは北の砂漠と同じだが、後者は赤味が強いのに對し、ヘッラスは少し黄色いぽいとしている。この時點ではリビュアは午後端で白く明るいが、ω=338°W以降はヘッラスもやや白みを帶びてくる。ω=347°Wでは南極雲より白く明るい。ただ、阿久津(Ak)氏の同日ω=356°WのBではヘッラスは出ていない。村上(Mk)氏は同日ω=300°Wでヘッラスを明るく見ている。ι=38°。11 Feb (λ=348°Ls)にはKm氏と森田(Mo)氏のヘッラス内部のccd像がある。Mo氏のω=326°WのBでも白雲は冩ってはいないようである。
♂・・・・・・ マレ・セルペンティス:2003年七月以降に變化したマレ・セルペンティス乃至デウカリオニス・レギオの東部が依然興味の對象であるが、Mo氏の8 Feb (λ=346°Ls) at ω=330°Wはι=39°と大きいが、2003年のω=328°Wシリーズ:
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomk/2003/M_Serpentis_June_Nov.jpg に附け加えるべき像であろう。マレ・セルペンティスの邊りは可成り暗い事が判る。筆者の10 Feb (λ=348°Ls) at ω=309°W、318°W、328°W、338°Wの觀測でも似た結果である。ただ、Iw氏の12 Feb (λ=349°Ls) at ω=318°W、328°W、348°Wにも見られる様に、デウカリオニス・レギオは明るく切れている。ccdではDPk氏の26 Jan (λ=340°Ls) at ω=337°W、340°W、345°Wが示しているが、濃淡がシャープで、デウカリオニス・レギオの東部もやや淡化しているように見える。DPc氏の16 Jan (λ=335°Ls) at ω=332°WのLRGB像でもこれは言えるかも知れない。なお、DPk氏の23 Jan (λ=338°Ls) at ω=010°W~017°Wではマレ・セルペンティスはもう夕端であるが、ノアキスの様子がよく判る。ノアキスを横切る暗帶が不規則ながら出來つつあるように見える。
♂・・・・・・南極冠と南極雲:南極冠が陽に記録された最後はDPc氏の18 Dec (λ=318°Ls、ι=42°)
ω=239°W~263°Wの像であったと思うが、DPk氏は17 Jan (λ=335°Ls) at ω=053°W、(055°W)、059°Wで南極冠が出ていると主張し、眼視でも700×で確認しているようである。然しその後明確な像はなく、28 Jan (λ=341°Ls) at ω=090°W、100°WのMk氏の觀測では南極域には大きく明るさを感じている。29 Jan (λ=341°Ls) at ω=066°WのKm氏の像にも出ていると思われる。同日Iw氏はω=095°W、105°W、115°W、124°Wで明確にhood状としている。また先に引用したペリエ(CPl)氏の29Jan(λ=342°Ls)ω=212°WのB像でも、南極に顕れる水蒸氣を攝撮しているかも知れない。31Jan(λ=343°Ls)にはIw氏がω=076°W、085°W、095°W、105°Wで觀測しているが、hood状か靄っているか微妙なニュアンスの状態としている。筆者(Mn)の同日のω=046°Wや075°Wで鈍いながら光點を見ているが、南極に水蒸氣が支配し始めていると見做すのは好いように思う。同日のMo氏のω=054°WのBでも南極に明るさがある。DPk氏の10Feb(λ=348°Ls)ω=194°W、197°Wでは南極雲はより明白である。Mk氏やIw氏、筆者の10Febの觀測でも南極域はヘッラスとの絡みもあるが鈍い白雲に覆われていると見ている(Int)。シーゲル(ESg)さんの11 Feb (λ=348°Ls) at ω=076°WのIntの眼視觀測では南極邊りに明るさがあるが, Wr47では未だ見えていないようである。
♂・・・・・・アルギュレ雲:アルギュレの朝霧はDPk氏の23 Jan (λ=338°Ls) at ω=017°Wや26 Jan (λ=340°Ls) at ω=339°W、345°WのB光像に明白である。29 Jan (λ=341°Ls) at ω=095°WではIw氏も眼視で捉えている。然し、アルギュレが午後側にはいると逆三角形の形の地肌を見せるらしく、DPk氏の17/18 Jan (λ=335°Ls) at ω=055°W、059°W、Km氏の29 Jan (λ=341°Ls) at ω=050°W~077°W、Mo氏の31 Jan (λ=343°Ls) at ω=053°W、063°W等に明確である。一方、夕端ではESgさんが9 Feb (λ=347°Ls) at ω=101°WでアルギュレがIntで非常に明るく、Wr47でも明るいことを紀録している。
♂・・・・・・次回は16 February (λ=351°Ls) から15 March (λ=005°Ls, δ=5.3")迄の一月間をレヴューする。
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