IUGG 2007 at Perugia, Italy 滞在記 (2007.7.7) 6月29日(金)ー30日(土) 国立天文台の太陽天体プラズマ専門委員会を終えたあと、 草野さん、秋岡君と、学術創成ヒアリング打ち合わせ。 (秋岡君は飛び入り参加。)5時すぎ、 タクシーを呼ぼうとしたが混んでいて呼べず。 結局バス。武蔵境には6時過ぎに着。間に合うか、きわめて きわどいタイミングだったが、新宿6時50分発の 成田エキスプレスに辛うじて間に合う。 夜21時55分成田発のエールフランス機で パリ経由、ローマへ。ローマ Fiumicino空港からローマ Termini 駅(ローマの中央駅)まで電車に乗る。 11ユーロ。結構暑いのにクーラーが入ってなくて サウナのよう。アメリカ人らしき老人が窓を開けようと 四苦八苦している。でも結局開かず。暑いまま。 途中で車掌が来て、切符を見せると、 印刷チェックが入ってないので違法だという。 日本と違い、駅には改札もなかった。そう言うと、 改札機があってそこに切符を入れるとチェックを 入れてくるとのこと。でもそんな小さな機械は 知らないと絶対にわからない。しかし、車掌は 「違法なので30ユーロを払え」という。 こちらは「切符を買ったとき何も 聞いていないので、そんな馬鹿な話はない、 払う必要はない」、と押し問答。そのうち パスポートを見せろ、とのことで見せると、 名前と番号を記録した模様。こちらとしては 何も悪いことをしたわけではない。これ 30ユーロを取られたら、詐欺である。 果たして帰りにパスポートチェックで 引っかかるだろうか? (後日記:帰りの 飛行機ではパスポートチェックはなかった。) ローマ駅に近づくと、古代の遺跡のような 壁が駅のすぐそばにある。さすがローマ。 ローマからペルージャへは電車で2時間半ほど。 今度も改札機チェックは忘れたが、車掌は 文句を言わなかった。車窓からの風景は 山の上に家や町があるのが印象的。 空が青く、乾燥しているのがわかる。 地中海式気候。しかし、結構暑い。 スコットランドとはだいぶ違う。 ただし今度の電車にはクーラーが 入っていて快適だった。 ペルージャからはタクシーを拾う。 ホテルは近かった。6ユーロほど。 結局、ホテルに着いたのは 現地6月30日午後3時頃 (日本時間6月30日午後10時頃)。 成田からほとんど24時間。三鷹 の国立天文台を出たのが午後5時過ぎ だから、それからだと30時間ほど かかった。 夜は Schmieder さんとホテルのレストランで 夕食。軽くスパゲッティ。 7月1日(日) 朝食のとき、上出さんに会う。 朝9時から、CAWSES buisiness meeting。 出席者は少ない。Avery, Geller, Kozyra, Chi Wang, Kuznetsov (director of Pushkov Institute of Terrestrial Magnetism, Ionosphere, and Radio Wave Propagation), Schmieder, Pap, xxxx (atmospheric coupling の女性)、Gan Lu (secretary of SCOSTEP), Raju (secretary of CAWSES) theme 2 のレポートを私とKozyra さんでやる。 内容は complementary。私のが、国際会議開催や 太陽関係の話を主、Kozyra san のが Virtula conference や国際共同キャンペーン観測の 話が主。Gopalswamy さんが結局 CAWSES で何が できたのか?と質問。答えは、難しいが、とにかく、 solar physicistsとgeophysicists 間の交流が 進んだということ。今後はモデリングの共同研究と データアーカイブを地球+太陽で合同で やろうとしていると述べる。 atmospheric coupling はCAWSES の活動としては ほとんど何もしなかった、らしい。 ワーキンググループにたくさん人が名前を 連ねているにもかかわらず。 昼ごはんは近くの店が開いていなかったので、 IUGG registration のところ(ペルージャ大学) まで行く。歩いて15分くらい。Schmieder, Gopalswamy, Kuznetsov の各氏と一緒。昼食後、registration。 on-site で550 Euro。本当は、ちょっと前に520ユーロ でできたはずだが、LOC が質問メールにすぐに返事 してくれなかったので、間に合わなかった。 いちゃもんをつけようかと思っていたが、 面倒になり、550 でOKとする。 その後、CAWSES II について夕方まで相談。 太陽を無視しないでほしい、と強調。 主たるtheme は space weather と solar influence on climate => 名前変更で、 solar variation and climate (?)=> memo を取らなかったので不確か。 これに共通の物理過程を議論するグループも作る。 ただし最終決定は SCOSTEP bureau が決める。 全体の名前も CAWSES II : next step xxx という感じ。 theme leader の候補も議論。 夕方5時前に解散。 夜は夕寝してレストランが閉まってしまい (日曜だからか:夜9時ーでもまだ明るい) 近所のピザ屋でピザを買ってくる。 ピザを食べながらロビー横のテーブルで 電子メール。部屋に無線ランがないため。 ホテルは53ユーロ/一日。 後日聞くと上出さんはIUGG HP から予約したら同じホテルで、 124 ユーロ/1日とのこと。こちらは IUGG は締切がすぎ、旅行業者(ライオンズ旅行) もペルージャにはホテルはない、という状態で 三羽さんに頼んで見つけてもらった結果が 53ユーロ。上出さんに聞くと、ホテルの部屋の 様子はさほど違わない。上出さんはIUGGは けしからんと怒りまくっていた。 7月2日(月) 昨日のレジストレーションでもらったカバンには プログラムが入っておらず、どんなセッションが あるのか不明。とにかく、10時頃にIUGGの 本部に行くと、プログラムが新聞の形で配布されている。 それを見てようやく、月曜の午前に new solar mission のセッションがあることを知る。急いで部屋へ。 Kosovichev さんの話を聞き損ねた。 でも、勝川、DeLuca, Cirtain, Millales, 各氏の 話が聞ける。勝川君は常田君の代理でSOTの話。 上手に話していたが、Ca Jet の紹介のところで、 私の名前が出てこない。他の結果の紹介のところは 必ず(日本人)研究者の名前を紹介していたのに、 そこだけ名前なし。ちょっと不満。 penumbra micro-jet がジェットでなくて熱伝導の せいかもしれない、というのは、良くわからない。 ジェットでない可能性はあるとしても、なぜ、 熱伝導が出てくるのか? 昼食はGopal さん、以前ブラジルで会った人(頭が つるつるの磁気圏物理学者、クラスターをやっている人) と一緒。IHYの責任者でもあるそうな。 DeLuca さんの話のときに giant arcade の観測は ないのか?と質問しようと思っていたら、誰かが 「モートン波または衝撃波の観測はないのか?」 と質問し、それに対して DeLuca さんが私に答えるように回答を促したので、 「ありますよ。昨年12月13日のフレアでは 見事なX-ray wave が観測されています」と答える。 そのため、私が質問するタイミングを逸してしまった。 Cirtain さんの話はX線ジェットの話。今年2月の 研究会のときより、かなり進んでおり、感動。 私の過去の研究をきっちり踏まえており、これも好感。 ひとつのジェットの中に200--300 km/s の低速成分だけで なく、700−1000km/s程度の高速成分があることを発見 したとのこと。素晴らしい。低速成分は蒸発成分、 高速成分はリコネクション加速成分と解釈できるとのこと。 さらに、ジェットの振動ーすなわちアルフベン波も発見した とのこと。振幅は30km/s 程度でジェットの横方向の 速度と同じ程度、周期は250秒程度。動く距離はジェットの 足元のループ(一万q程度)よりは小さい。 Science paper はアルフベン波の発見で書いたとのこと。 プレプリントをもらう。ppt file, movie などももらう。 質疑応答では真っ先に手をあげて、 "congratulation for detection of both fast and slow flow components in one jet!" と言ってから、「この観測は どれくらい一般的なのか?」と聞くと「データや感度の問題で 今はまだ4−5例だけだが、、、、」という返事。 終わってから、清水君のジェットのシミュレーションを見せる。 これを見ると振動周期は200秒くらい。大体合っている! これでも論文が書けそう。 また、リコネクションジェットがぶつかるところで、磁力線が 若干折れ曲がるのが、実際のジェットでもある(Cirtain さん) とのことで、シミュレーションと観測の比較は本当におもしろい。 次のMillales のジェットの話はXRTとUVCSの観測との 比較の話。両方でジェットが見えたとのこと。速度は 同じか?と質問すると、そうだとのこと。ジェットのモデルで ねじれた磁場と周りの磁場とのリコネクションにより ジェットができるモデル(van Ballegojen ) を紹介していたが、 私の名前が出てこなかったので、いちゃもんをつける。 「同じモデルは1986年にShibata and Uchida が提唱しているので 忘れないように」というと「知っている」という。知っているのなら ちゃんと紹介してほしい、、、(ちなみにCirtain さんはちゃんと 紹介してくれた) 休憩時間には、Cirtain さんに清水シミュレーションを見せながら 長々と議論。最近のシミュレーション結果にそっくりのCajetの ムービーとシミュレーションの比較の図やムービーもいっぱい見せる。 最近は少しこれに熱中しているので。あまりにもシミュレーションと 観測が似ているから。ほとんど毎日、西塚君や清水君、中村君に メールを送って研究、解析を指示している。久々の研究。 ところで、Cirtain さんには清水シミュレーションムービーをあげる。 (個人使用とのことだが、ひとに見せるときはわれわれの名前を忘れずに 紹介してほしい、と一言。) Kuznetsov がCoronas F の結果を紹介。太陽フレアなど 観測していたことを知る。ただしどれほど新しいことがあるのか微妙。 夜は IUGG opening ceremony。あまり気乗りのしない勝川君と今田君を 誘って会場へ。ペルージャのダウンタウンの真ん中の11月広場(?) というところ(屋外)で。二つ大きなスクリーンがあり、そこに前の 舞台の様子が映るようになっている。1000人くらい入れる広場(会場) か? 最初は民族音楽と踊りで、まあまあ楽しめたが、スピーチが 始まると長い。最初はなぜか元オリンピック選手(老齢の女性、陸上長距離 選手とのこと)が出てきて長々と話。ようやく終わると、LOC chair が話し始める。これは原稿が配られている。A4にぎっしり詰まって、 3ページあまり。20分以上はかかったのではないか。段々寒くなってきたし、 あまりにおもしろくないので、次の人のところで退散。3人でレストランを 探すが、見つからず、うろうろしていると小島さん(名大STE研)夫妻 にばったり会う。結局、会場から5分くらいのところの屋外レストラン に5人ですわる。ここで勝川君に、清水シミュレーションにそっくりの Caジェットの観測(Ca, XRT, TRACE) を見せ、いかにシミュレーション と良く合っているかを話す。極端な可能性として、ジェットの足元の 逆Y字構造の一部が電流シートかもしれないという話もする。ただし、 これは流石にちょっと極端か。3次元モデルで考える(というのが私の もともとの考えだが)立場に戻って議論するのが論文や発表では良さそう。 とにかく、高温ジェットと低温ジェットの位置関係(左に低温ジェット、 右に高温ジェット)、時間関係(高温ジェットの方が先に発生)は 見事に一致。(この時間関係は以前の観測やシミュレーションでは 低温ジェットが先となっていたが、今回は観測が逆で、そう思って 清水シミュレーションを良くみたら、確かに高温ジェットが先に 発達していた! 研究の話の後は、小島さんの奥様に、ようこうや ひのでのムービーをお見せしたりしながら、色々談笑。こちらは 少しのビールでかなり酔っ払ってしまった。 ペルージャの町は丘の上に建てられた中世の町。石でできた数階建の 家がぎっしりとつらなり、細い道は路地をなして、迷路のようにくねっている。 一瞬、魔女の宅急便に出てくる町にいるかのような錯覚に陥る。 中世のころ、水を引くのに使われた石でできたアーチ状水路が建物の上の あたりを走っている。ところが、帰りに歩いている細い道路が 実はさきほど下から見上げていた水路であることに気づいて、びっくり したり感動したり、、、 7月3日(火) この日も朝9時から、同じnew solar space mission のセッション。 Harra san のひのでEISのレビューは新しい話がなくてがっかり。 次のSmith のRHESSI のレビューは良くまとまっていた。2.2Mev の ガンマ線ソースとHXR 線ソースの場所が一致しない理由はイオンと 電子の加速場所が違うからだろう(電子は短いループ、イオンは 長いループ?)、ということだが、まだ確立した わけではない。そもそも空間像が描ける2.2Mevイベントは数例?のみとのこと。 一方、2.2MeV 強度と300keV 強度の相関は非常に良い、しかし、 2.2MeV とGoes thermal X-ray との相関はそれほど良くない。 もっとも、当たり前のような気もするが、、、、 Sui-Holman のHard X-ray plasma ejection の話を大きな成果として 紹介。そのとき私のフレアモデル(増田ソース+プラズモイド噴出)の図 が出てきて苦笑。私の名前が書いていなかったが、図が使われているのを 見るのは嬉しい。(後で、質問しにいって、自己紹介したら、名前を言わなくて ごめんなさい、と謝ってきたので、ちょっとびっくり。(昨日はMillales さんに、いちゃもんをつけたのを覚えていたのかも。)皆、多少気にしながら 見せていることを知る。ここはIt's OK と言っておく。 behind the limb event (2002 Oct 27 flare) が12-35keV でエジェクション(400−800q/s)として見えているという おもしろい話を紹介。さらにおもしろいのは火星から見た観測があり、それは 裏から見ているので、フレア本体が見えて、 ガンマ線が受かっている(Xクラスくらいのフレア)。 Krucker さんが論文執筆中とのこと。 その後、 Kaiser : STEREO science cetner, Howard : STEREO/SECCHI の話。EUV 171, 195, 284 の全面像を2か所から撮像。 赤青の色メガネを配って、みなで3次元像を見る。ただし、プレゼンが あまりうまく行かずがっかり。太陽半径の20倍以上外側のムービーで コメットのテイルが振動する例を紹介。これには感動。太陽起源の Alfven wave か何かが揺らしている? KHも効いているかも、とも思う。 午後はホテルに帰り、電子メールと夕寝。 夜は上出さんと来週の学術創成中間ヒアリングの打ち合わせの予定が、 部屋の電話がはずれていて、上出さんを30分以上も待たせてしまい、 恐縮。夕食は9時頃からホテルのレストランで。スパゲティを食う。 うまい。ヒアリングのプレゼン案(まだ長いが)を見せて議論。 予想質問などいろいろ相談。トリプルモートン波の発見はなぜ 重要なのか? などなど。 7月4日(水) この日は一日、講演の準備。何しろ最近4年間のフレア研究のレビューを しないといけないから。パソコンにダウンロードしていた興味ある論文 100編以上を整理する良い機会。楽しくて仕方がない。久々に学問に熱中。 ところが熱中して昼ごはんを食べ損ねる。 ここのホテルはレストラン以外に食べるものがない。また、近所にコンビニも ない。ピザ屋はこの時間(3時ころ)はなぜかしまっているのだ。 あきらめて部屋に帰ったら、眠くなって夜の9時まで寝てしまう。 急いでホテルのレストランに行くと、九大の羽田さんがいる。一緒に夕食。 久々の会話。羽田さんの話、なかなかおもしろい。 その後、講演の準備の続き。結局、徹夜で準備。 7月5日(木) 講演はIAGA division IV の reporter reviews. 皆から準備は大変だろうと 言われていたが、こちらとしてはこんな楽しい講演準備はなかった。 ただし、1夜漬けなので、Flare wave, Flare modeling のレビューまで やっている時間がなかった。もっともそれでなくても話すことは山のように ある。10年以上前から予想(予言)していたことがだんだん確かになってきて いるのが楽しくて仕方がない。とにかく、45分の講演用に60枚以上のスライドを 準備。最後はもちろんひのでのジェットの話を入れる。 セッションは午後2時から。座長は division IV のチェアの Cairns san (Australia) 。会場はペルージャ大学の数学教室の階段教室。あまりに急な 階段教室でびっくり。2時開始時には10人もいなかったが、話が終わるころには 30人くらいはいたような。とにかく観衆は少なかったが、こちらとしては 講演で話すのが実に楽しかった。終わったときには、拍手もそれなりにあったような 気がする。時間延長したにもかかわらず、質問も4つほど出る。Cairns san も 大変面白い講演だったとのこと。あとの休憩時間で、惑星間空間で flux rope が二つや三つ重なったようなイベントがあるが、それが私が 述べた、multiple X-ray/filament eruption に関係していると思うか、と 質問してきた若い外国人院生(ヨーロッパ)がいた。それはおもしろい、その 可能性は十分ある、論文ができたらぜひ送ってほしいと激励。 私の後は、Gopalswamy さんのCMEの話。filament height はフィラメントの 寿命とともに高くなり、上限がある、というFilippov 論文の紹介はおもしろかった。 ただし、そのグラフは当たり前のグラフ。縦軸フィラメントの高さ、横軸フィラメントの 臨界高さだがこれはerupt しないとわからないので、このフィラメントがいつ 不安定になるか、という予言には使えない。それを質問で問うと、そんなことは ない、磁場の観測からわかる、とのこと。しかし良くわからないので、後で聞こうと 言ったが、結局、会う機会なし。その後は Zank の太陽風ショックや粒子加速の 話。ただし、期待に反しておもしろくない。字が多すぎる。 4人目の人(知らない人)の途中で腹痛がはじまり、退散。 夜は Geller, Avery, 津田、藤井の4氏と、秋の CAWSES symposium の準備会議。 参加申し込み420人あまりのうち、日本人は160人ほどとか。一方、 太陽関係は60人弱。そのうち日本人は40人ほど。外国人太陽研究者の少なさが 際立っている。夕食後半はアルコールと時差ボケのためにほとんど寝てしまい、 皆さんに申し訳ない限り。 7月6日(金) チェックアウトの日。早く帰らないと月曜の講義に間に合わないので。 Kozyra san と会って相談する時間が作れず申し訳ない限り。 昨夜は早々と睡眠。この日は早朝に食堂へ。すると九大の廣岡さんに 会う。のち上出さんも参加。のち電子メール。10時すぎにタクシーを 呼び、少し時間がありそうだったので、Baci のチョコレート会社 (Pergina) に行けるかと聞くと行けるというので、頼む。予想に 反して、かなり遠い。Perugiaの郊外。 タクシー代だけで35ユーロ。チップを入れて結局40ユーロ払った。 Pergina では、6ユーロほどのチョコレートセットを 4つ買う。24ユーロのために40ユーロのタクシー代とはお笑いものだが、 これも貴重な体験だ、ということにして納得。 11時過ぎの電車でローマへ。ローマへは2時間半で、2時前に着く。荷物を 預けて、昼食をマクドナルドの隣のサンドウィッチ屋で取る(マクドナルド にしようと思ったがにおいを嗅いだだけで食欲がなくなった)。 少し時間があったので、のち、地下鉄でコロッセオへ。 古代の劇場。外には古代ローマ兵士の姿をした おじさんたちが観光客相手と写真を取る、という商売をしている。 コロッセオは大分待たされて入る。が、なかなかの迫力。さすがローマ。 ガイドなしで行くが十分堪能。しかし、2000年も前に良くぞ、これだけの 石造建築を作ったものだと、そればかり感心。今だって大変のはずだ。 ピラミッドが良く驚異だというが、コロッセオだって驚異である。 ひょっとしたら、昔は今われわれが考える以上に文明、というか知恵、技術が 発達していたのだろう。逆に考えると、1000年、2000年後になったとしても 人はあまり変わらず、現代の建物の「遺跡」に2000年後の人々は驚嘆するに 違いない。ペルーでも思ったが、人間はこの5000年くらいの間、考えることも 知的レベルも、日常の技術もそれほど今と違わないのではないか? ローマ駅で換金しようとして、ひどい目に合う。 先日のスコットランドのお金の残りの10ポンドがあったので、 それと2000円で20-30ユーロくらい作ろうと思って、駅の換金屋へ。 おねえさんが「thirty Euro OK ?」というので「yes」と言ったら、 出てきたお金は13ユーロしかない。聞くと thirteen Euro ではないか。 これではもったいないので、元に戻してほしい、と言ったら、 一度換えたお金は元には戻せない、という。そして 「you said Yes」の一点張り。2000円と10ポンドがどうして 13Euro にしかならないのか?と聞いても you said Yes の 一点張り。あんまり、おねえさんの態度が怪しかったので、 (何も説明もなく、Yes と言ったから手遅れ、ばかりなので) こんなのぼったくりではないか、詐欺ではないか、 と思い、ポリスを呼んでくれ、周りの人に向かって、 こんなバカな話はありますか、皆さん、ここの換金の人 ひどいですよ、皆さん助けてください、と大騒ぎをする。 隣の切符売りのおばちゃんやおじちゃんにも助けを求めるが 何もしてくれない。どうしたのかと聞きにすら来ない。 30分ほどしてようやくポリスが来る。お金の計算をし、 事情を説明するが、サービス料15%に加えて、 一回の換金の手数料が3.9ユーロでしかも日本円とポンドで それぞれで手数料がかかっている。掲示の換金率で26ユーロ にしかならないくらい小額なのに、サービス料だけで 13ユーロ近い。こんなのありか?とポリスに聞くと、 それは普通だ、もっともだ、とのこと。ポリスが良いと 言うのではどうしようもない。まあ、おねえさんには さんざん抗議したし、Yes と言った、くらいで、もうけよう などとしたら、あとでひどい目に合う(さんざん抗議される んだぞ)、というくらいの示しはついたか、と思い退散する。 しかし何度思い出しても頭に来る。日本人は抗議などしないと 馬鹿にしていたのに違いない。あんたは泥棒だ、詐欺ではないか、 と英語で言いたかったのに単語がわからず言えなかったのが 大層悔しい。ローマ駅から空港までの電車の中では、 日本に帰ったらイタリア大使館に怒りの抗議の手紙を出そうかと、 その文章ばかり考えていた。 7月7日 帰りの飛行機の中では、The Bridge to Terabithia を見る。 かわいらしい映画。しかし、主人公の一人の死には涙涙。 http://disney.go.com/disneyvideos/liveaction/bridgetoterabithia/