新・歳時記村 () 

大雪・冬至


 

  ★☆天文暦などにも記載のある「二十四節気」は、季節の指標として気象情報の中などでも良く取り上げられる。「二十四番花信風」と各節気に花開く植物を知らせる風を呼んで、「小寒」から「穀雨」までの節気にそれぞれの花を配して、季節を趣あるものにしている例もある。「小満・芒種」は今でも梅雨期に沖縄で使われていると聞く(Ts氏のアンタレス研究所訪問19 (CMO#260)參照)。★☆陰暦正月の「立春」から始まり、正月中に「雨水」と一ヶ月に二つずつ節季が進む。火星観測で使うLs値と同等の太陽黄経を基に等分されるから太陽暦では毎年の節気の日付はほぼ一定で、閏年の時だけズレがでる。師走には「大雪」と「冬至」があり、それぞれ陰暦の十一月の節である。因みに「冬至」の日には黄経270゚となる。

 

★☆今年の「大雪」には関東でも暦どおりの降雪があり、十二月上旬としては珍しい雪景色となって早い冬の訪れを感じさせた。このところ晩秋に咲き誇っていた菊花も一時の勢いはなくなり、華やかなのは赤い実を鈴生りに付けたピラカンサスの庭木があちこちで目に留まるだけである。★☆当地は「蜜柑」の栽培北限で、西湘の小田原から熱海にかけての東海道線沿線では、海に迫った山の斜面に蜜柑畑が連なっているのが望見される。我が家にも小さい樹があり毎年僅かだが結実してくれて賞味するのを楽しみにしている。例年は年末に収穫するのだが、今年は早くも鳥が突っつき始めたので既に取り込んでしまった。こんな所にも季節の進行が早いように思える。近所の柑橘類も色づいていて、ユズ湯を立てる「冬至」も間近となってきた。

 

★☆冬至となれば「一陽来復」北半球の太陽観測者にとっては、一足早い新しい歳の始まりを感じる。来年はいよいよ火星大接近の年となり、今から期待でこころが躍る。ぜひ良い観測をして記憶・記録に留めたいと思っている。

村上 昌己 (Mk)      

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