M87 巨大楕円銀河

M87(NGC 4486)は、おとめ座銀河団の中心付近に位置する巨大楕円銀河で、地球からおよそ5,440万光年(約1,670万パーセク)の距離にあります。 TOP画像中央に広がる淡い黄色の光がM87本体です。これは莫大な数の恒星が放つ光で、M87が遠方にあるため個々の星には分離できません。 M87の光が黄色を帯びるのは、年老いて温度の低い恒星からの放射が卓越しているからです。
M87の中心には、太陽の約65億倍もの質量をもつ超大質量ブラックホールが存在します。2019年にはこのブラックホールの影が史上初めて撮影されました。 また、この超大質量ブラックホール周辺からは光速に近い速度で物質が吹き出すジェットが伸びています。 銀河の中心から右上へ伸びる青白い筋が、超大質量ブラックホールから放射されるジェットです(拡大図参照)。 電子が強力な磁場の中で高速運動することで生じるシンクロトロン放射が主成分で、恒星の光より短波長の成分が強いため青く見えます。
M87は、こうしたブラックホールやジェットに加え、周囲に膨大な数の球状星団を持つことでも知られています。 M87本体の周囲に散らばる多数の小さな点は、M87に付随する球状星団です。球状星団とは、数十万個の星が密集した天体です。 天の川銀河にも150個以上あり、近いものでは星団の個々の星まで観測できます(参考図参照)。 一方で、 M87は非常に遠いため、そこにある球状星団は望遠鏡で観測しても小さな点にしか見えません。 球状星団は、アンドロメダ銀河や大マゼラン銀河など、他の銀河にも存在する天体です。 しかし、M87では、これらの銀河に比べて格段に多くの球状星団が付随しています。ハッブル宇宙望遠鏡の観測から、 M87には1万個以上の球状星団が存在すると推定されています。この画像に写っているのは、そのごく一部にすぎません。
球状星団の多くは100億年以上前に形成された古い星の集団で、新たな星形成はほとんど起きません。 そのため、銀河が誕生した頃の化学組成をよく保っていると考えられ、宇宙の化石と呼ばれることもあります。
2025年5月14日 21時56分(JST)
観測装置:TriCCS
露光時間:g, r, i各バンド 600秒
写野:13.0x7.9arcmin
高解像度版(2220x1352pix, 1.5MB)