Ten Years Ago (222)

 ---- CMO #280 (10 October 2003), CMO#281 (25 October 2003) ----

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/cmo280/index.htm

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/cmo281/index.htm


 

回もWeb版のCMO#280, #281 の二号の紹介になる。

CMO#280には2003 Great Mars CMO Report (15)として九月後半の観測がまとめられている。最接近を過ぎたこの期間に、視直径δ23.4"から20.9"になったが、まだ十分な大きさであった。季節λ262Lsから270Lsへと進んで、火星面南半球では夏至を迎えた。中央緯度φ19Sから20Sと南向きで南極地が此方を大きく向いていた。位相角ι16から25になり朝方の欠けが大きくなってきた。

 観測報告者数は47名、336観測とやや減少している。内訳は、国内からは11名、190観測。岩崎徹(Iw)氏が観測数を伸ばした。外国からは、アメリカ大陸 15名、60観測。 ヨーロッパ17名、73観測。アジア・オセアニア 4名、13観測であった。

 レポートには、まず、「重要な画像」として、前号に取り上げられているキャノン・劉(CLa)現象(λ=257Ls)が、パーカー(DPk)氏の27Sept(λ=269Ls)の画像に再現して捉えられていることの紹介である。朝霜か霧が避けてワインカラーの斑点として見えている現象で、成因は地勢とか局所温度にも依るだろうが、朝霧から速く脱する(脱霜?)ところであろうとしている。次いで、「朝霧()像」として季節が進み北上している水蒸気により目立ってきた朝霧の様子を描写している。「赤道帯霧」「ワインカラー地」では、白霧の濃淡の観測から、水蒸気と浮遊黄塵の分布の様子が推測できるとして、浮遊黄塵の少ないところがワインカラーになっているのではと指摘している。この年の接近の収穫は、白い霧と浮遊黄砂の様子がつぶさに採り上げられたことであろう。これはワインカラー地の問題と共に今後の重要課題となった。小見出し「テュレ」の項では南高緯度の様子を、「ダエダリア」では濃化している様に見えることを、「エリダニア・アウソニア・トリナクリア・ヘッラス」では南半球の大陸などの様子をそれぞれ指摘している。「南極冠」では縮小を続ける様子が取り上げられた。前回採り上げたテュレス・モンスの最終段階の問題では、宮﨑(My)氏の 2 Sept (λ=253Ls)の像とパーカー(DPk)氏の23 Sept (λ=266Ls)での同じような角度での映像が掲げられ、比較されている。同じく最終段階となった「ノウゥス・モンス」の様子は東洋から詳細な観測が出来た。1988年の大接近時には、筆者(Mk)はニコンの10cm屈折でTP2415に写し込んだ(λ=266LsCMO#116参照)が、この2003年の機会には20cm反射で、16 Sept (λ=262Ls) ω=331Wから013Wまで追跡出来、翌日にも観測できた。Iw氏も、やはり肉眼で16Sept18Sept40分毎に観察している。オーストラリアの故ヴァン・デア・ヴェールデン(EVl)氏は 22 Sept (λ=266Ls) ω=287W299Wで明確に写している。同じ22 Sept (λ=266Ls)には日本でも福井を訪ねた常間地ひとみさんが ω=265W から330Wまで40分毎に追跡している。南氏は 26 Sept (λ=268Ls) ω=288W 27 Sept (λ=269Ls)には ω=278Wで観察した。以後ヨーロッパに移って、ビヴェール(NBv)氏が 26 Sept (λ=268Ls)ω=019W に夕方に捉え、最終的にはピーチ(DPc)氏が28 Sept (λ=269Ls) ω=351W 002Wで痕跡を写し出したが、もはや白さはなかった。結局ノウゥス・モンスはλ=269Ls内に消失したと判断している。「北極雲」に関しては、傾きが南向きで難しい観測対象だったが、いくつかの観測された例が紹介されている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/280OAAj/index.htm

 

 LtEには25September2003から 9October2003の期間に寄せられた外国からのJohn BARNETT (VA, the USA), Nicolas BIVER (France), Jeffrey BEISH (FL, the USA), Bob BUNGE (MD, the USA), Brian COLVILLE (Canada), Daniel CRUSSAIRE (France), Tom DOBBINS (OH, the USA), Mario FRASSATI (Italy), Martin GASKELL (NE, the USA), Ed GRAFTON (TX, the USA), David KLASSEN (Rowan University, NJ, the USA), Silvia KOWOLLIK (Germany), Frank J MELILLO (NY, the USA), Don PARKER (FL, the USA), Tim PARKER (JPL/CIT, CA, The USA), Damian PEACH (the UK), Christophe PELLIER (France), Bill SHEEHAN (MN, the USA), Clay SHERROD (AR, the USA), Elisabeth SIEGEL (Denmark), Dan TROIANI (IL, the USA), Maurice VALIMBERTI (Australia), John WARELL (LPL, AZ, the USA)23名と、阿久津富夫(栃木)、浅田 正(福岡)、日岐敏明 (長野)、岩崎 (北九州)、熊森照明(大阪)、森田行雄(広島)6名の国内の諸氏からの来信が紹介されている。 

 

 

いで、CMO#281には、16回目となる2003 Great Mars CMO Report が、十月前半の観測報告を扱っている。1 October 2003 (λ=271Ls) から 15 October 2003 (λ=280Ls)の期間で、南半球の夏至過ぎの観測であった。最接近からは一ヶ月あまりも過ぎて、視直径δ20.7"から17.9"に減少していた。中央緯度φ20Sから22Sと南向き、位相角はι=26から33と欠けが大きくなった。1988年の最接近時(22Sept, λ=277Ls)に対応する季節であった。

 

  この期間の観測者数は33名、221観測と、さらに減少した。内訳は日本では、7名、123観測。森田(Mo)氏・阿久津(Ak)氏が望遠鏡のトラブルで観測数を減らしている。アメリカ大陸からは、12名、54観測。 ヨーロッパからは11名、35観測。アジア・オセアニア 3名、9観測であった。外国勢で観測数が多いのは。パーカー(DPK)氏とアリゾナに滞在中のワッレル(JWr)氏だけであった。

 レポートには、まず小見出し「朝霧の妙」として、引き続いて観測されている、アマゾニス地方朝方のキャノン・劉現象が採り上げられている。この期間にはアメリカ西海岸から我が国の範囲で捉えられている。「ワインカラー地」では、タウマジア以東のワインカラーの分布とマレ・クロニウムで見られているワインカラーの様子を章を分けて記述している。「夕端」では、位相角が大きくなって、夕端の霧が強くまた複雜に見えるようになっている事を採り上げた。熊森(Km)氏の画像処理の工夫についても言及している。「ヘッラスの朝霧・夕霧」には、ヨーロッパ・アメリカ側から観測されたヘッラスの朝夕の様子が紹介されている。アメリカが発信元のヘッラスの黄雲発生の情報を否定する「註」が付いている。「南極冠の周り」「ノウゥス・モンスの痕跡」では、南極冠とその周辺の特記事項を取り上げている。「オリュムプス・モンスとアルシア・モンス」では、この季節の山岳部の見え方にふれられている。「北極雲」についても少し記述がある。末尾には6Octに南半球オーストラリア方面で見られた火星食のヴァリムベルティ(MVl)氏の画像が紹介されている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/281OAAj/index.htm

 

 この号には10Octoberから24October2003の期間に寄せられたお便りがLtEにまとめられている。外国からは、John BARNETT, Peter BERRY (FL, the USA), Nicolas BIVER, Brian COLVILLE, Tom DOBBINS, Ed GRAFTON, Alan HEATH (the UK), Silvia KOWOLLIK, Eric NG ( 偉堅, Hon Kong), Don PARKER ,Tim PARKER. Damian PEACH, Christophe PELLIER, Clay SHERROD, Elisabeth SIEGEL, Maurice VALIMBERTI, John WARELL17名の方々から、国内からでは、阿久津、石橋 力(東京)、岩崎、熊森、松本直弥(長崎)、岡野邦彦(東京)、長 兼弘(石川)、 梅田美由紀(福井市自然史博物館)8名の皆さんであった。

 

 Ten Years Ago (98)は、CMO #138 (25 October 1993)が南 政次氏により紹介されている。二十年前の火星は観測シーズンは終わっていて、12月の「合」に向かって太陽に近づきつつあった。既に1992/1993年火星の分析が進められていて、この号ではCMO Note が一挙に三編が掲載されている。その(9)は「観測頻度の分布図」"Distributions of Observation Rates of Hk, Id, Iw, Mk, Mn & Mo in 1992/93"として、日岐、伊舎堂、岩崎、筆者()、村上、森田の各氏の観測分布を調べたものである。その(10)は「ω=330W邊りから見た北極雲」"The NPC Watched from ω=330W10W at around 355Ls, 15Ls and 30Ls"は、北極冠をω=330Wあたりから、λ=355Ls015Ls030Lsと季節を違えて、重要な時点で追った観測の集約である。その(11)は「岩崎徹氏の北極冠(λ=000Ls~040Ls)"The Recession of the North Polar Cap Observed by T IWASAKI at 000Ls~040Ls"で、北極雲から出現したあとの、λ=020Ls040Lsの北極冠のサイズを精査している。Iw氏の場合は観測度数が多いから、螺旋図を描くことが出來ている。LtEには森田行雄(Mo)氏の1993年二月13日に観測された、エリュシウムの黄雲らしいものについて、ヨーロッパにその後の観測を問い合わせた質問の返事が掲載されている。南氏の「夜毎餘言XXXXIX『朝日新聞』」・「一点点・一天天 『いる/おる』」も掲載されている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/281tya98.htm

村上 昌己 (Mk)


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