201911 和文お便りLtE Now

前月の和文LtE

最新のemailが上に來ています。


  ・・・物理学者 南先生

発信:25 November at 17:52 JST

 

西田です。

南先生が物理学者として研究されていた「超弦理論」を調べてみようと思っていたところ、偶然放送大学で超弦理論の番組を放送していました。

 

番組内で、東大名誉教授の米谷先生がまだ若い頃、弦理論の論文を書いたところ、同じような考えの論文が海外にあると京都大学数理解析研究所の南政次先生から手紙をいただき、その論文のコピーまで入っていたとの発言がありました。どうもお互い面識はなかったようですが、南先生が若い才能を見いだし手助けをされたようです。先生のお人柄を感じた気がしました。ただ、年代から南先生もまだお若い頃のことのようですが。

 

私は昨日視聴しましたが、下記webサイトによりますと121日にも放送があるようです。
https://bangumi.ouj.ac.jp/bslife/detail/01A09002.html

 

とりあえずご連絡まで。

 

西田 昭徳 (あわら市、福井県)

 

 

  ・・・シーハン氏のメール

発信:4 November at 23:22 JST

 

近内令一です。

佐伯鏡20cm反射経緯台を組み立て終えたシーハン先生のメールはまさしく読みなれたシーハン節の音色で懐かしく読みました。

西村製の反射経緯台はバランスの良い洗練された既製品だと思うのですが、クラシカルな外観が望遠鏡自作や眼視スケッチ観測が盛んだった古き良き時代の郷愁をそそったということでしょうか。同世代なのでよく理解できます。

 

ご参考に和訳を付けてみたので下にコピペいたします:

 

近内 令一 (石川町、福島県)

 

----- Original Message -----

From: "William Sheehan"

Sent: Monday, November 04, 2019 4:32 AM (JST)

Subject: The reflector assembled

 

【反射望遠鏡組み立てました】

皆様、

 この週末に私は20cm反射望遠鏡を上手く組み立てることができて、今夜にも早速月面でその見え具合をテストしてみようと思います。何というか、南政次の観測ノートと同様に、このクラシカルな望遠鏡は私がよく覚えている時代のことを呼び起こします。このような古典的な観測道具や政次のような眼視観測法は私が育った年代を特徴付けるものですが(1950年代及び60年代:アマチュア天文学の黄金時代と私は呼んできました)、もっと若い年齢層の最近アマチュア天文学になじんだ人たちの多くは、もはやそのようなことを思い起こすこともないでしょう。

 

 天文歴史学会の文献管理委員にして記録保管人であったステュアート・ウィリアムズは最近亡くなりましたが、2009年に記したところでは:チェムバース辞典の定義によれば、『アマチュア』という用語が指すのは「熱中者もしくは讃美者」ないしは「職業としてではなく、愛ゆえに何かを実施する人のこと」ということでした。

 

 彼のさらなる言葉を私がここに言い換えるならば:天文学の初期の進展はアマチュアに負うところが大きく、この科学が専門分野となる以前の19世紀の大富豪の『大アマチュアたち』や、もっと近年の才能あふれる、しばしば突拍子もないアマチュア天文家たちの貢献が重要であったということです。しかし我々が今生きるこの時代は、消えゆくアマチュア天文学の世界を何とか保護して残すという努力を切実に必要としています。ひとつ挙げれば、巧妙な創意工夫と旺盛な意欲をもって複雑な装置、特に天体望遠鏡を一から自作しようという取り組みとか。いまや世界は安価で高性能な市販の既製天体望遠鏡であふれ返る危機に瀕しており、それはかってなかったほど多くの人々に天文への扉を開いていることは間違いありませんが、観測装置を自分で組み立てて実験してみようという刺激、動機は何らもたらしません。ということになります。

 

 いまここに、我々の手元にある20cm反射望遠鏡が呼び起こすのはあの日々、まだほとんどのアマチュア天文家が自分自身の手で望遠鏡の製作に挑み、そして望遠鏡の分解能を超えようかという月面や惑星の模様の詳細を求めて、時には想像力も駆使してまで覗き続けた夜。そのような古典的な観測法には何か中毒性があって、いまや宇宙船による撮像、CCD画像観測、そして既製の市販望遠鏡全盛のこの時代に育った人々にはその中毒の喜びは分からないでしょうね。そのような時代の歴史を私は時々書いてみたくなります。というのも、私はありがたいことに、望遠鏡作りや古典的天体観測に並外れて有能だった多数の人たちと面識があったからです。しかしながら、古典的な火星観測の時代に南政次ほど貢献した人は誰もおらず、彼こそは筋金入りの火星中毒者であり、古典的な眼視観測法による火星スケッチ観測数では歴史上の何人も及ばない世界記録保持者であることは間違いありません。彼の比類なく貴重な観測記録の保存保管にローエル天文台が同意したのは私のこの上ない喜びとするところであり,来たるべき火星研究の数々に彼の観測が引用言及されることを切に望みます。

  敬具

ビル・シーハン


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