98/99 report #01

1998/99 CMO Mars Report #01

1998年九月後半・十月前半の火星面觀測


『火星通信』同人・南 政 次 (Mn)
♂・・・・・・愈愈われらが火星が朝の空に戻って來た。未だ、視直徑は充分ではないが、朝方直ぐ高く昇るので觀測開始には適當である。福井では中島孝(Nj)氏と筆者が2Oct(十月3日の朝)から協同觀測を開始した。1994年のOAA總會の折の皆さんとの初觀測のときは火星を見附けるのに苦勞したが、今回はレグルスの近くにあることが分かっていたので(白状すると、Mk氏のCMO-Internetの記事-「歳時記村」で知ったのであるが)、直ぐ見附かった。レグルスが1.4等星、火星が1.7等級でトントンである。實は、6Oct16hGMTに火星はレグルスの0.9゚北を通った。福井では、火星は2時過ぎに昇って、4時半ころから觀測可能であったが、5時(20:00GMT)頃が見頃である。薄明が始まり、6時に日の出と言う按配であった。

♂・・・・・・この號では、16 September 1998 から 15 October 1998 迄の觀測報告を扱う。九月末には既にハワイのニコラ・ビヴェール(NBv)氏(フランスFASの觀測家)から、20 Septに初觀測を済ませたという聨絡があった(LtE參照)。16 Septで視直徑δは4.0秒角、季節は030゚Ls、中央緯度φは20゚N、位相角ιは20゚、一方、15 Octではそれぞれ4.2秒角、043゚Ls、24゚N、26゚となっている。缺け方はこれから強くなる。φは25.4゚Nまで行く。問題は視赤緯で16 Septには+17゚であったが、15 Octでは+11゚と落ちて來ている。このことについては前號で注意した。

♂・・・・・・・今回ファイルされた記録は次の通りである。


      HIKI, Toshiaki 日岐 敏明 (Hk) 箕輪・長野 Minowa, Nagano, Japan
              1 Drawing (9 October 1998)  360×16cm speculum

    MINAMI, Masatsugu 南 政 次 (Mn) 福井 Fukui, Japan
           20 Drawings  (2, 〜 5, 9, 10, 11 October 1998) 340, 400, 480×20cm refractor* 

      NAKAJIMA, Takashi 中 島  孝 (Nj)  福井 Fukui, Japan
           17 Drawings  (2, 〜 5, 9, 10, 11 October 1998) 340, 400, 480×20cm refractor*

      SCHMUDE, Richard W, Jr リチャード・シュムード (RSc) ジョージア GA, USA
            1 Drawing  (27 September 1998)  570×51cm speculum

                                             *福井市自然史博物館天文臺 Fukui City Observatory
♂・・・・・・・福井からは上記の期間中、ω=210゚Wから東回りにω=100゚Wの範囲であって、暗色模様の乏しいところで、Nj氏と我々は何時もそうだね、とボヤいたものである(というより、ボヤいたときだけを憶えている譯である。白状すると、ボヤかない爲に九月最後の週末は天文臺で何度か待機したのだが、雨に降られたのである。晴れればシュルティス・マイヨルというところであった)。しかし、最初から北極冠は大きく明るく明白であった。2 Octで041゚Ls、φ=23゚Nであった。北極冠にはダークフリンジが濃く出ていて、更にその外にワスティタス・ボレアリスに属する暗部が擴がっている。もう少し視直徑があると、Ω=160゚W以東では弱くなるが、今回は一様に暗く見えた。但し、9 Octω=124゚W等では朝方が濃く見えた。南半球の暗色模様は常時見えるが、同定は難しい。5 Octω=175゚W前後でマレ・シレヌムが見えたか、という程度。暗色模様は經度からもこれからである。像の南端には常に白色系のヘーズが見える。特に夕方側が濃い。タルシスは然程顕著ではない。エリュシウムも目立たない。プロポンティスTも分離しない(1994年に015゚Lsで綺麗に分離したときはδ=7.4"であった)。
 Hk氏(138゚E、36゚N)の初觀測は9 Oct 20:05GMTでω=133゚W。北極冠が大きく明確で、タルシスがやや明るい。041゚Ls。δ=4.3"であった。22cm反射を注文中であるが、未だ届かないので、16cmでの觀測である。
 RSc氏(85゚W、34゚N)の觀測は035゚Ls、ω=105゚Wであった。北極冠は0.5の明るさ出、ダークフリンジは7の濃度である。他に特に濃い暗色模様はない。赤色では、北極冠以外に明るいものはない。ダークフリンジに背して夕方にやや明るいものがあるが、赤色では明るくない。視直径は4.1秒角。シーイングは8。

♂・・・・・・・NBv氏のスケッチは未だ送られて來ていない。實際には彼のInternetで見られるのであるが、個人情報をInternetサイトから片っ端から捉えるのは困難である上、CMOを通じての交流とは無縁と言えるから、Nj氏やMk氏と相談の上原則として(特別な場合は除くということ)今後も參照しないことに決めている。同じ様に、CMOの同人は當然OAA火星課のメンバーに限らないが(海外同人でOAA會員というのは寡聞にして知らない)、OAA會員の場合、CMOを媒體としないOAA火星課活動はあり得ないという點も相談の上の了解事項である。從って、火星課に參加する場合、當然『火星通信』の購読をお願いすることにしている。最新號のほか報告要領などは添附される筈である。

♂・・・・・・・暫く、前月の16日(GMT)からの觀測を15日(GMT)觀測〆切として報告して頂くことになる。次回は、十一月16日(月)には三國に速達でご送付下さい。A4判スケッチ用紙の送付とは別にemailで前以て觀測状況をお知らせいただくと有り難い。


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