Ten Years Ago (188)

 

---- CMO #242 (25 April 2001) pp2955~2974  ----

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/cmo242/index.htm

 


に観測レポート今期6回目となった。16Mar2001 (λ=131Ls) から15Apr2001 (λ=146Ls)の期間の観測報告が纏められている。視直径はδ=8.8"からδ=12.0"に増加して充分大きくなった。中央緯度はφ=4Nからφ=1Sと南向きになってきた。位相角はι=34°と少し欠けが小さくなった。

 火星は「さそり座」から「いて座」へと動き、赤緯が低く朝方の高度はなかなか上がらなかったが、観測者は国内から9名、外国から6名の15名と少し増えている。国内からは常間地ひとみさん、シンガポールから TAN, Wei-Leong氏が加わった。寄せられた観測はほぼ倍増の270点であった。

 この期間天候が良く、三月中はほぼ連日、四月に入っては外国分を含めると欠測日がなかった。広島の森田氏は三月24日の強い地震で架台が動いて、四月中旬まで欠測になった。

 

 日本からは、夕縁にM Erythraeumが見えるところから始まり、ひとまわりした。南極雲の活動が活発となり内部が不均一なのが観測されている。パーカー(DPk)氏は、南極雲周辺にAusoniaに接して明斑を撮している。四月に入ってからはHellespontusの分枝で南極冠とHellasが、はっきり分離しているのが認められた。Hellasも明るさは白味が弱く、赤色光画像では内部構造が写っている。タルシス山系や、オリュムプスモンスなどの山岳雲の午後活動が観測されている。夕方のLibya雲、Chryse-Xanthe霧も活発で、 弱い赤道帯霧も認められ始めている。また、朝方のTempeには白雲がかかっている。北極域は弱い明るさが認められ北極冠も瞥見されていた。

 

 他の記事は、FORTHCOMING 2001 MARS (10)、「火星面がピカるとき」 "The sub-Earth point=sub-Solar point"が掲載された。CMO#241にあるDPk氏よりのLtEに紹介されていた雑誌S&Tの記事から、火星面での閃光現象の可能性について、以前観測されていたときの状況も検証して、考証している。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/coming2001/0110/10j.html

DPk氏からのLtEは次を參照されたい:

 http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/DPk241.htm

 

 なお、この号から常間地ひとみさんが編集部に新しく加わった。常間地さんは既に紙面の一部の構成を担当されていたほか、#239号以降のCMOWebの作製に携わっていた実績がある。今回編集部に入るについて、新しいコラム記事として「アンタレス研究所訪問」が常間地さんの手で執筆が始まった。初回は「天天天天、一様的天(蔡琴)」と題して、中国語の星座名から起案して、てんびん座の天秤(はかり)に関してのことが取り上げられている面白い記事である。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/Ant001.htm

 

LtEは、森田行雄(広島)、伊舎堂弘(沖縄)、松本達二郎(兵庫)、比嘉保信(沖縄)、成田広(神奈川)、阿久津富夫(栃木)、岩崎徹(福岡)の国内の各氏からと、

Françis OGER (France), Peter WLASUK (Fl, USA), Nicolas BIVER (France),  Myron E WASIUTA (VA, USA), Don PARKER (FL, USA), Brian COLVILLE (Canada), Tom CAVE (CA, USA), Carlos E HERNANDEZ (FL, USA), Jeffery BEISH (FL, USA), Richard SCHMUDE Jr (GA, USA), TAN Wei-Leong (Singapore), Frank J MELILLO (NY, USA), Daniel M TROIANI (IL, USA), Damian PEACH (UK),  Sam WHITBY (VA, USA) の外国の各氏からのお便りが掲載された。

 

TYA(68) は、CMO#104 (25 April 1991) の紹介で、20年前には火星は夕方の「ふたご座」に入り赤緯最北となった。季節はλ=040°Lsをすぎ、視直径はδ=6"を下回った。寄せられた観測報告も三名からだけとなり、観測期終盤を感じさせている。傾きが北側に変わって北極域に注意が払われた。各氏とも北極冠を確認している。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/TYA68.htm

                                                村上 昌己 (Mk)

 


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