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(2) 1999年の木星

1. 撮像観測の目的



木星の撮像観測の目的は、模様の時間変化を追跡することです。 木星の模様とは渦のような流体力学的な現象です。 模様の変化を調べるということは、 木星の大気の力学的な 現象の時間変化を調べることになります。

2. 大赤斑とその他の斑点

有名な大赤斑は高気圧性の渦です。 図1に白色光(赤外線のみカット)、赤色光、青色光で撮影した画像を示します。 図の右下に写っている大きな斑点が大赤斑です。 大赤斑は赤いので、赤色光では明るく、青色光では暗く写ります。

大赤斑の南側に接するように南温帯縞と 呼ばれる縞がありますが、そこには永続白斑(White Oval)と いう楕円形をした明るい斑点が3個ありました。 この斑点の色は白色ですが、高気圧性の渦で、 大赤斑の小型のものと考えられます。 そのうちの2個が1998年春に衝突し合体してしまったので、 1999年現在は2個でした。 この2個の白斑の非常に接近した様子が、図1の左下に写っています。 この後、2000年の3月にはこの2個の白斑も合体してしまいました。

その他にも木星には実に多くの斑点があります。 図2を見てください。 上のほうのたいへん暗い縞(右の一部は明るくなっています)は 斑点の集合体のように見えます。 そのすぐ下の縞の左のやや上には小さな暗い斑点が見えます。 南半球には3個の明るい斑点がほぼ同じ緯度に並んでいます。

高分解能の画像をたくさん撮影することで、これらの 模様の時間変化を詳しく調べたいと考えています。

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(浅田 正 記)