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(7) 太陽における浮上磁束管の数値実験

太陽面上ではしばしば様々な活動現象が観測されます。 それらは小規模なガスの運動であったり、花火のように 短時間明るく光る現象であったり、時には大量のガスを太陽の外に 向かって放出する大規模な現象であったりします。 太陽物理学の重要な課題の一つに、こうした活動性の原因を 明らかにすることがあります。 今では、多くの観測事実の積み重ねによって、太陽面上へ浮上して くる磁場が太陽活動に重要な役割を果たしていることが わかってきています。

こうしたことから、磁場が実際どのようにしてガスを 動かしたり、爆発とそれに伴う発光を起こしたり、あるいはまた 大量のガスを吹き飛ばしているのか、そのメカニズムを探る研究が 盛んに行われるようになりました。 最近では、コンピュータの進歩により、太陽における磁場の振る舞いを 直接再現する数値シミュレーションが可能になってきています。 ここで紹介するのは、そうした研究の一つであり、太陽内部から 浮上してきた磁束管(磁場が集束して作られた細い管状の構造物)が 太陽面上へ表れていく過程を調べています。

上図では、磁束管の断面(初期に太陽内部(対流層)にある時は円形の 形状をもつ)に注目し、それが浮上に伴って大きく変形していく様子が 再現されています。 特に、ガス圧が著しく減少する太陽大気中では磁束管の断面が 大きく膨張し、それに伴って激しいガスの運動が起こっているのが 確認できます。

(真柄 哲也 記)



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