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(4) 2000年の木星観測トピックス

(1) 撮像観測の目的

木星の撮像観測の目的は、模様の時間変化を追跡することです。 木星の模様は渦のような流体力学的な現象ですので、 撮像観測によりの渦の時間変化が明らかになります。

(2) 大赤斑とその他の斑点

図1に白色光(赤外線のみカット)、赤色光、青色光で撮影した 大赤斑の画像を示します。 図の左下に写っている大きな斑点が大赤斑です。 大赤斑は高気圧性の渦で、その名の通り赤いので、 赤色光では明るく、青色光では暗く写ります。



大赤斑の南側に接するように南温帯縞と 呼ばれる縞がありますが、そこには永続白斑(White Oval)と いう楕円形をした明るい斑点が3個ありました。 この斑点の色は白色ですが、高気圧性の渦で、 大赤斑の小型のものと考えられます。 そのうちの2個が1998年春に衝突し合体し、 残った2個も、2000年の3月に合体してしまいました。 結局残った1個が図2の左下にかすかに写っています。 この図の右下の黒点は衛星の影です。

その他にも木星には実に多くの斑点があります。 図1の大赤斑の下には2個の明るい斑点がほぼ同じ緯度に並んでいます。

(3) 画像処理

従来、アンシャープマスクという画像の細部を強調する 手法を用いてそれなりの画像を得てきました。 最近最大エントロピー法という方法で画像の復元の 試みたところ良好な結果が得られました。 ここで紹介した画像も全てその方法で 処理しています。

(浅田 正 記)



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