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花山・飛騨同時一般公開(太陽宇宙デジタルライブ)

概要

近年、天文学の観測装置は、どんどん大型化、海外・宇宙空間進出の 傾向が強くなり、一般の人々が身近な所でそれらの施設や観測現場に触れて 学習出来る機会が減りつつあります。 そのような中、より多くの青少年をはじめとした市民に 研究成果の伝達を行なうべき大学の役割は重要となってきています。 小中学児童を中心とする多くの人々が、実際に国内の地上天文台での 天体観測や検出装置、さらに生データが科学的データへと解析されて 行く課程等を現場の研究者と共に見聞することにより、天文学・宇宙科学の 実体や具体像を把握し、他のあらゆる科学分野との関連性を見い出し、 理科学習の意義、理工学の健全な進化の必要性を感じ取るきっかけを 提供できれば、と我々は願っています。

そう言う意図の下、当天文台では今年度も引き続き、 花山・飛騨天文台同時一般公開(太陽宇宙活動デジタルライブ)を 実施致しました。 この事業は、文部科学省「13年度大学等地域開放特別事業」としても 採用され、補助金を受けています。 主たる内容としては、"2天文台をインターネットで結び デジタルデータのライブ交換と音声によるリアルタイムでの対話を 利用したデジタルライブ"、"普段プロが用いている望遠鏡による 昼間の太陽表面、夜間の月や火星を始めとした惑星や星雲星団の生の観察"、 更に "来訪者が自ら手を動かす工作教室やクイズラリーなどの参加型企画"、 などが行なわれました。     

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花山天文台での開催内容


デジタルライブの他に、花山天文台では、昼間は、18cmザートリウス 望遠鏡による太陽全面像と70cmシーロスタット太陽望遠鏡に よる太陽スペクトルの観望を、夜間は45cm屈折望遠鏡による月と火星の 観望を行ないました。また、天文工作教室や講演会、クイズラリーなど 色々な企画展示も行ないました。なかでも、彗星やプラネタリウムを つくってみようという参加型の企画に人気がありました。 約200名の参加があり、楽しかった、来年もまた来たいという方が 多く、喜んで頂けました。ただ、夕方から天気が悪くなったため、夜の 観望があまりできず、残念に思われた方も多かったようです。

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飛騨天文台での開催内容


今年度の開催日、飛騨地方は天候に恵まれ、当日実際に飛騨天文台を 訪れた方々に対しては、直接天体の観測・観望を体験して頂く事に 主眼を置いた開催内容となりました。 日中はドームレス太陽望遠鏡による多波長での太陽表面画像の撮影、 分光器による太陽光スペクトルの観察、フレア監視望遠鏡による 現在の太陽活動状況の解説、セミナー室や食堂ホールにおける 太陽物理学の基礎講座、と言った太陽の観測研究を体験して頂く事と 併行して夜間用の望遠鏡・観測装置の解説・見学会を行い、その合間を 利用して花山天文台の来台者に向けてのデジタルライブのデータ発信と 音声解説を行いました。 日没前後の時間帯には、2つの天文学セミナーを用意し、 セミナー室にて講師と来台者との間で有意義な天文学情報のやりとりが 行なわれました。 夜間も好天は続き、月面や惑星だけでなく、普段中々見る機会の 無い様々な星雲・星団を、日頃スタッフが観測研究に用いている 2台の望遠鏡を中心に直接観望して頂き、宇宙の多彩な諸相を 堪能して頂きました。 また、飛騨地区においては、昨年度に引き続き、 特に上宝村、神岡町、高山市の各教育委員会の皆様の御支援・広報の 御協力を頂きました。(上野 悟 記)

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