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Geotailで観測された磁気リコネクションに伴う薄い電流層の形成

太陽面フレアの原因となる磁気リコネクションは放射線や高速高密度プラズマの 放出を伴い、これが地球へ到達することにより磁気嵐の発生などの大きな影響を 及ぼします。 また地球磁気圏尾部における磁気リコネクションもまた、極地方におけるオーロラ サブストームの発生と密接に関係しており、磁気リコネクションの発生、発達 メカニズムの解明は重要な課題となっています。

磁気リコネクションのメカニズムに関しては、過去多様なモデルが提唱されましたが、 太陽面や地球磁気圏などにおける磁気リコネクションは速さが要求され、 現在はPetschek型の磁気リコネクションが起こっていると考えられています。 このPetschek型リコネクションにおいては、中心部にごく狭い拡散領域が存在し、 その周りにslow-mode shockが形成されます。通常反平行の磁場は中心部分に 存在する電流によって支えられていますが、磁気リコネクション領域の周囲では slow-mode shockの形成に伴い磁気中性面に存在する薄い電流層は両slow-mode shock領域に分離し、double-peaked current sheetを形成します。地球磁気圏に おけるGeotail衛星の磁場とプラズマの直接観測の結果から、 中心部分の電流層はイオン(主にプロトン)が磁力線凍結から開放されるイオンの 慣性長より薄くなり、その周囲には磁気中性面から離れた両側へdouble-peaked current sheetが形成される様子が観測されました。 しかしながら、この電流層は必ずしもslow-mode shockを伴わず、同時に 不安定であり、定常的に存在する訳ではないという結果も得られています。 このような電流層の形成、維持にはプラズマの温度非当方性や地球電離層の効果 などが候補として挙げられていますが、現在はまだ解明されておらず、 現在理論面からの研究が進められています。

(浅野 芳洋 記)



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