Ten Years Ago (183)

 

---- CMO #237 (25 November 2000) pp2839~2858  ----

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/237/cmo237.html

 


の号から、2001年接近の観測レポートが始まっている。初観測は27Oct2000 (068°Ls) の福井での南(Mn)、中島(Nj)両氏の観測だった。次いで広島の森田(Mo)氏、アメリカのドン・パーカー(DPk)氏からの観測報告があった。15Nov2000 (076°Ls) までの報告がまとめられており、火星面では視直径は4秒角台と小さいものの北極冠が明瞭で、取り巻くダークフリンジが濃く捉えられていた。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/sec01/01/f0101.html (English)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/sec01/01/f0101j.html

 

次いで、1988/99 Mars CMO Note (15) として「1999年の南極雲」 "The south-polar hood in 1999" が取り上げられている。南極冠出現以前の南極雲の大局的様子がまとめられている。1999年には中央緯度が北向きで南極雲は南端に寄っていた。このような時には南極雲の観測はヘッラスとの絡みで見るというが常道であり、日本での観測と、DPk氏の4(125°Ls) 5(144°Ls) の画像を例に挙げて説明している。1999年では南極雲が大局的な程度に発展したのはλ=140°Lsであろうとしており、そのころ以降の南極雲の様子をDPk氏とMo氏の画像で紹介している。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/99Note15/index.htm (English)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/99Note15j/index.htm

 

"Forthcoming 2001 Mars" (3) は、「2001年と1954年、1969年、1986年の火星」 "2001 Mars vs 1954, 1969, 1986 Mars" が掲載されている。21June2001に最接近となる今回の接近と同様な接近を比較して、接近のズレが、視直径の大きさの違いや、傾きの違いによる南極冠の見え方の違いなど、同様な条件の訪れることのない火星観測の接近毎の違いよる比較の難しさに言及している。南極雲・南極冠の消長に関してはヘッラスと南極域の関係の観測が重要だとしていて、海老沢氏の観測の例を挙げ、同じ火星地方時での観測の比較が大切であるとしている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/coming2001/0103/03.html (English)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/coming2001/0103/03j.html

 

LtEには、森田行雄(広島)常間地ひとみ(神奈川)、岡野邦彦(東京)、中神輝男(栃木)、の各氏から寄せられたお便りがある。2001年夏にCMO観測者懇談会を沖縄で開催する案が浮上していて、比嘉保信氏(沖縄)、と伊舎堂弘氏(沖縄)のやりとりが別稿に伝えられている。また、Brian COLVILL (Canada), Todd GROSS (MA, USA), Frank J MELILLO (NY, USA), Sam WHITBY (VA, USA), André NIKOLAI (Germany), Don PARKER (Fl, USA), Gianni QUARRA (Italy) の外国の各氏からの来信があった。  

 

 TYA(63)は、CMO#096 (10 Nov 1990), CMO#097 (25 Nov 1990) を取り上げている。20年前の火星は十一月20(336°Ls) に「おうし座」で最接近となり視直径δ18.1秒角に達した。南中高度の高い条件の良い接近だった。中央緯度はφ=8°Sで、両半球とも見渡せ、南半球では南極冠の極小期、北半球では、北極雲活動の最盛期であった。十一月初めにはChryseからSolis Lにかけて局地的な黄雲が発生して、欧米で観測されたが、ほぼ一週間ほどで沈静化し、日本からこの地方が夕方に見える様になったときには、Solis Lの南には白い夕靄が観測されていたが、黄雲は観測されなかった。しかし、黄雲活動後のSolis L周辺では、Aonius Sが濃く認められ、Phasisも認められるようになっていた。また、Hellasの北西部からZea Lの西を南に奔る明帯が観測されているほか、Tharsis山系の昼前から明るくなるのがB光写真で捉えられた。北極雲の活発な活動もM Acidaliumをバックに捉えられている。此の期間に観測を報告された方は、国内からは十六名にのぼって、約600点の観測が集まった。

 火星観測記事以外には、#096に「COMING 1990/1991 MARS (8) - 見掛けの大きさや位相の変化(その2)」、「土星新白斑発見記」、「1988年の火星観測で使用された望遠鏡(その2)」がある。また#097には「CMO Update」があり、事務局を福井に移動した事と、中島孝氏が会計を担当する事が報告された。

 http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/237/tya063.html (Japanese)

 

                                       村上 昌己 (Mk)

 


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