Ten Years Ago (189)

 

---- CMO #243 (10 May 2001) pp2975~2990 ----

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/CMO243/index.htm

 


測レポートは#07なり、16Apr2001 (λ=146°Ls) から30Apr2001 (λ=154°Ls)の四月後半の観測報告が纏められている。この号から半月毎の発行となった。

 四月下旬には、視直径はδ=14.0"を越えて小接近の最大視直径より大きくなった。但し、位相角はι=30°まで戻って来たものの大きい。中央緯度はφ=1°Sからφ=2°Sとほとんど真正面からの火星像であった。この期間、火星は「いて座」にあり順行を続けていて、北半球では高度があまり上がらず、朝方に時間が限られ厳しい観測条件だった。観測報告は国内から10名、外国から6名の16名とほぼ前回と同じだった。寄せられた観測は半月で150点ほどであった。

 沖縄は例年より早く梅雨に入ったようだ。

 この期間のλ=150°Lsあたりの大きな問題は南極雲と南極冠の問題である。こういう場合ヘッラスのあたりに狙いねらいを付けるのがよいのだが、幸い日本からはヘッラスが午前側に見えるところから始まった。沖縄では22Aprが最後になったようだが、17AprにはId氏がヘッラスの南部は明るいが、夕方の南極雲は鈍いとしている。252627AprにはMn氏がω=142°Wから181°Wまで五回ずつ40分毎観測で捉えており、25AprにはMo氏が、26AprにはAk氏が連続観測している。全体南極雲の様だが南極雲内にも濃淡があり日毎に変わる。R光ではヘッラスは明るく見えていて、氷結が出ていると考えられる。アメリカではDPk氏の像にマレ・エリュトゥラエウムの南に南極雲が撮し出されている。CO2の滑落はλ=180°Lsころまで要注意である。

 山岳雲は衰退期に入っていると思われるが、エリュシウムの夕雲は健在でHg氏が1819Aprに捉えている。オリュムプス・モンスもまだ夕方で明るくなるのが認められたが往事の綿毛の様子はなかなかである。この時期の詳しい記述は次を見られたい:

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/01Repo07j/index.htm

 LtEは、Myron E WASIUTA (VA, USA), Carlos E HERNANDEZ (FL, USA), Don PARKER (FL, USA), Frank J MELILLO (NY, USA), Tom CAVE (CA, USA), Richard SCHMUDE Jr (GA, USA), Damian PEACH (UK)の外国の諸氏からと、国内からは伊舎堂弘(沖縄)、阿久津富夫(栃木)、森田行雄(広島)、比嘉保信(沖縄)、日岐敏明(長野)の各氏からのお便りが掲載されている。

 その他の記事として、FORTHCOMING 2001 MARS (11) 2001年の火星観測暦表(その4) (西田昭徳氏) "Ephemeris for the 2001 Mars. IV" があり、2001 June から 2001 August の期間の暦表を扱っている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/coming2001/0111/11j.html

 

 また、南氏の夜毎餘言・LXI「仕事じゃ、仕事」が巻末の二ページ埋め草仕立てであり、 南氏の大学時代の先輩である佐藤文隆氏に関してのことが書かれている。「仕事じゃ、仕事」と仰有っているのは佐藤氏で南氏ではない。一読を奨める。

 

「アンタレス研究所訪問」 (常間地ひとみさん) の二回目は、「太陽の季節」と題され、黒点観測の事を取り上げ、三月に出現した大型黒点の活発だった活動状況を、近年観測を続けているSOHO衛星からの各種観測データをもとに伝えている。Wolfの黒点観測に始まる相対数の変化を長期に監視する太陽観測は、各種の様々な波長域の太陽観測に引き継がれ、太陽の活動と太陽系空間の変化をモニターするものに変わりつつあるとしている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/Ant002.htm

                                    村上 昌己 (Mk)

 


 日本語版ファサードに戻る / 『火星通信』シリーズ3の頁に戻る