Kwasan and Hida Observatories, Graduate School of Schience, Kyoto University English Home page

太陽磁場活動望遠鏡(SMART)

SMART (Solar Magnetic Activity Research Telescope)の紹介

21世紀に入り、今後ますます盛んになる人類の宇宙活動の安全を守るために、太陽面爆発の発生を予知する研究(宇宙天気予報)の重要性が増しています。平成15年に完成した太陽磁場活動望遠鏡(SMART)は、強い太陽面爆発を引き起こすねじれた磁場の発達と、エネルギー蓄積・解放のメカニズムを解明するために開発された、世界最先端のシステムです。SMARTの完成により、太陽全面を常に高分解能で観測することができるようになりました。

SMARTの全景

SMARTの望遠鏡部の拡大写真

[SMART データアーカイブ]

SMARTは高さ16メートルのタワーの上に設置された、口径20または25cmの4本の望遠鏡で構成されます。

T1: Hα全体像望遠鏡
太陽全面像をHα線で撮像します。広範囲のイベントを、高分解能で常時モニターできます。
[H-alpha データアーカイブ]
T2: 磁場望遠鏡
太陽全面の三次元磁場を測定するためのデータを得ます。磁場のデータは太陽表面の高エネルギー現象を理解するために重要です。
[マグネトグラムサンプルイメージ]
(観測休止中)
T3: Hα/連続光高速撮像望遠鏡
太陽部分像をHα線と連続光で高い時間・空間分解能で観測します。とくに太陽フレアの内部構造とその時間発展を詳細に追跡し、フレア爆発のメカニズムを研究します。
[関連リンク (名古屋大学STE研共同研究)]
[クイックルック]
T4: 多目的望遠鏡
磁場とHαの部分像の両方を測定することが出来ます。磁場は部分像ながら高精度で測定できます。

観測例
2003年10月30日の太陽全面像





SMART関連論文
"Features of Solar Telescopes at the Hida Observatory and the Possibilities of Coordinated Observations with SolarB"
UeNo, S. et al.
ASP Conference Series, 325, 319, 2004
"Triggering Mechanism for the Filament Eruption on 2005 September 13 in NOAA Active Region 10808"
Nagashima, K. et al.
The Astrophysical Journal, 668, 533-545, 2007
"Three Successive and Interacting Shock Waves Generated by a Solar Flare"
Narukage, N. et al.
The Astrophysical Journal, 684, L45-L49, 2008
"Evolution of Anemone AR NOAA 10798 and the Related Geo-Effective Flares and CMEs"
Asai, A. et al.
Journal of Geophysical Research, 114, A12, A00A21, 2009
"First Simultaneous Observation of an Hα Moreton Wave, EUV Wave, and Filament/Prominence Oscillations"
Asai, A. et al.
The Astrophysical Journal, 745, L18, 2012
"High-Speed Imaging System for Solar-Flare Research at Hida Observatory"
Ishii, T.T. et al.
Publ. Astron. Soc. Japan 65, 39, 2013
"The Tandem Etalon Magnetograph of the Solar Magnetic Activity Research Telescope (SMART) at Hida Observatory"
Nagata, S. et al.
Publ. Astron. Soc. Japan 66, 45, 2014
"Temporal Evolution and Spatial Distribution of White-light Flare Kernels in a Solar Flare"
Kawate, T. et al.
The Astrophysical Journal, 833, 50, 2016
"A New Solar Imaging System for Observing High-Speed Eruptions: Solar Dynamics Doppler Imager (SDDI)"
Ichimoto, K. et al.
Solar Physics, 292, 63, 2017
"Increase in the Amplitude of Line-of-sight Velocities of the Small-scale Motions in a Solar Filament before Eruption"
Seki, D. et al.
The Astrophysical Journal, 843, L24, 2017


SMART性能

T1: Hα全体像望遠鏡

2016年4月までのもの。新装置(Solar Dynamics Doppler Imager: SDDI)については、 表を準備中です。参考 pdf
対物レンズ 有効口径200 mm
使用時口径200 mm
レンズ数3
焦点面画像 画角2300 arcsec
波長変化対象角度(直径)2000 arcsec
けられなき画角2300 arcsec
使用波長6562.81
フィルター フィルタータイプLyot
フィルター口径40.0 mm
フィルター結晶部長191.8 mm
半値幅 0.25 Å
CCD サイズ(一辺)36 mm
画素数4000×4000
最高時間分解能2秒
光学系 合成焦点距離3228.63
合成Fナンバー16.14
光路図 (クリックで拡大)20cmHα全体像望遠鏡光路図

T2: 磁場望遠鏡

全体像部分像
対物レンズ 有効口径200 mm200 mm
使用時口径100 mm200 mm
レンズ数33
焦点面画像 画角2000 arcsec500 arcsec
波長変化対象角度(直径)1951 arcsec707.11 arcsec
けられなき画角2000 arcsec707.11 arcsec
使用波長6302.50 A6302.50 A
フィルター フィルタータイプLyot
フィルター口径30.0 mm
フィルター結晶部長272.1 mm
半値幅 0.125 Å
CCD サイズ(一辺)28 mm28 mm
画素数2000×20002000×2000
最高時間分解能
光学系 合成焦点距離2886.91 mm11547.60 mm
合成Fナンバー28.8757.74
光路図 (クリックで拡大)20cm磁場望遠鏡光路図(全体像)20cm磁場望遠鏡光路図(部分像)

T3: Hα/連続光高速撮像望遠鏡

以前の光路図など
対物レンズ 有効口径250 mm
使用時口径250 mm
レンズ数3
フィルター Andover 656.3nm (3A)
連続光Andover 647nm (10A)
CCD サイズ7.4 um
画素数1600×1200 (pixel)^2
視野344×258 (arcsec)^2
最高時間分解能0.03秒 (30frames/sec)
光学系 合成焦点距離7425.6mm
合成Fナンバー29.7
光路図 (クリックで拡大)25cmHα/連続光高速撮像望遠鏡光路図
新光学系3次元設計図 (クリックで拡大)25cmHα/連続光高速撮像望遠鏡新光学系設計図

T4: 多目的望遠鏡 (高精度磁場測定)

以前の光路図など
対物レンズ 有効口径250 mm
使用時口径250 mm
レンズ数4
フィルター フィルタータイプFabry-Perrot (Tandem)
フィルター口径60.0 mm
波長630.25nm
半値幅 0.16 Å
CCD サイズ7.4 um
画素数1600×1200 (pixel)^2
視野450×340 (arcsec)^2
最高時間分解能0.03秒 (30frames/sec)
光学系 合成焦点距離24751.8 mm
合成Fナンバー99.01
光路図 (クリックで拡大)25cm多目的望遠鏡光路図
新光学系3次元設計図 (クリックで拡大)25cm多目的望遠鏡新光学系設計図