ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2008年11月15日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

森脇淳 教授
チューター:木村嘉之(博士課程 2回生),長尾有晃(博士課程 2回生)

実施場所:理学研究科 3号館 109号室

自然数nについてnと2nの間に素数が存在するというベルトラン仮説の証明について、二人の高校生に発表させた。

輪読している本「天書の証明」の二章の内容に相当する。発表は、証明の最後の段階(5)を除いて終わった。

また、二項係数の簡単な性質について説明させた。

物理

今井 憲一 教授
チューター:佐田優太(修士課程1回生),酒向正己(修士課程1回生)

実施場所:理学研究科 5号館 511号室

  • ガイガー検出器に関する講義とガイガー検出器の製作実習


ガイガー検出器製作の様子その1

製作の様子その2
製作の様子その3

天文

北井礼三郎准教授, 野上大作助教 
チューター:渡邉皓子(修士課程2回生),橋本 祐樹(修士課程1回生)

実施場所:花山天文台

花山天文台太陽館 70cmシーロスタット望遠鏡を用いて、太陽黒点及びプロミネンスの分光観測を実施した。 太陽黒点については、西のリム付近のNOAA 11008について、H-alpha線で preceding (西側) の黒点とfollowing (東側) のプラージュ領域を撮影した。

更に、西側の黒点について、Fe 6302.5 A及びFe 6301.5 Aのラインで観測を行い、黒点の磁場強度測定用のデータを取得した。プラージュ領域では、ラインの変化が分からなかったため、データは取得していない。 プロミネンスについては、太陽の縁を一周して、三つのプロミネンスをみつけ、 H-alpha線にて観測を行い、彩層上空に浮かぶ様子を撮影した。 太陽の導入、カメラの制御、観測対象(プロミネンスや黒点)のスリット上へのせる操作、観測領域のスケッチなど必要な作業を分担して行った。


シーロスタット望遠鏡で太陽を導入

観測対象をスケッチ
CCDをパソコンから制御して観測

受講したELCASメンバーの感想文

  • 前回は直前にあった黒点が当日にはなくなってしまっていたが、今回は見れたので、よかった。
  • 今回は、今まで観測できなかった黒点やプロミネンスをみることができ、とてもおもしろかったです。また、自分はスケッチの担当だったのですが、プラージュは、少しみえにくかったです。
  • 少し曇っていたけど、なんとか黒点とプロミネンスを見れたので良かった。回を重ねてきたので、少しずつ機械や器具の扱いにも慣れてきたと思う。月に一回なので太陽の光の入れ方が微妙に変わっていくので毎回難しく感じる。あまり専門知識がないので、たまに意味が分からなかったりした。
  • 前回は休んでいたので、今日は初めて本格的に太陽の観測をやらせてもらった。黒点は小さいのが一個見えただけだったが、プロミネンスが見えていたのがすごかった。渡邉さんに教えていただいた未知の現象がとても気になった。
  • 太陽を観測するために使うソフトやシーロスタット望遠鏡の使い方には、少し慣れてきた気がする。前回観測できなかった黒点をギリギリ(?)観測できて、よかった。プロミネンスが浮いているものだとは、知らなかった。

生物

篠原 渉 助教 
チューター:後藤 静(修士課程1回生),掛澤明弘(学部4回生)
ボランティア: 河野真澄
実施場所:植物園の実験室

解読したDNAデータ(プライマーによりいくつかに断片化されている)をソフトを使って結合させ、サンプルごとに塩基配列を決定。それをWeb上のDNAデータベースで検索にかけ、植物の同定を行った。


作業の説明中

塩基配列のデータをソフトに読み出しているところ
同定した植物の学名から、実際に自分が採集した植物と一致しているかを確認。

受講したELCASメンバーの感想文

  • 高校では体験できないことばかりで、よくわからないことも多かったけど、DNAの配列を見たり、パソコンで、そのDNAが何の植物かわかったりすると、嬉しくなりました。検索結果が、植物が出てくるはずなのに、きのこが出てきたり、色々ハプニングもあって、楽しかったです。こういう研究がもととなって、いろんな研究がされているんだということがわかりました。パソコンは今の研究には欠かせないものであることが良くわかりました。
  • 道を歩いていて「何の植物かな」と思うことはよくあるけど、このようにDNAを調べて、ということは、もちろん体験したことがなかったし、実験をしていると高校では学べないようなことを教えていただいたりして、とても勉強になりました。また、DNAの抽出をしたり、配列を見ることで、存在を身近に感じることができ、植物だけでなく、人間、自分自身のDNAのも興味を持つようになりました。実験最中は、うまくいかなくて失敗したことがいろいろあったけど、みんなしっかり結果がでてよかったです。
  • DNAの配列をパソコンで分析しました。間違って読みこまれてしまったものは、最後には手作業で修正するということに驚きました。パソコンだけではなく、人間の手が必要だということがわかり、面白かったです。
  • 研究室で実際に使われている、マイクロピペットや、電気泳動の装置を実際に見たことはほとんどなかったので、それらを自分で使って実験できたのは面白かった。遠心分離機が小さかったことと、電気泳動の結果が素早く出てきたことに感動した。
  • 今回は三回連続の学習で、とても実験が多くて、楽しかったです。実際、使っている薬品の名前が分からないし、今、何をやっているのか分からない部分も結構あって、理解はあまりできませんでした。まあ、DNAを取り出して、これは何だ?的なものだったんだろうなあって感じです。高校ではできないことだらけで、本当に良い体験になったと思います。植物は好きなので、とても楽しかったです。ありがとうございました。