ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2008年12月6日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

森脇淳 教授
チューター:木村嘉之(博士課程 2回生),源 泰幸(研究員)

実施場所:理学研究科 3号館 109号室

反対鎖と呼ばれるそれぞれの間に包含関係を持たない有限集合の部分集合族の濃度の上限を与えるSpernerの定理 と必ず共通部分を持つような交差族と呼ばれる部分集合族に関するErdősの定理の証明を説明してもらった.

物理

今井 憲一 教授
チューター:佐田優太(修士課程1回生),酒向正己(修士課程1回生)

実施場所:理学研究科 5号館 511号室

マントルから放出される放射線を前回作成したガイガーカウンターを用いて測定しました。 マントルにはトリウム(Th)が含まれており、トリウムのα崩壊によって生じるα線、そこから更に崩壊を繰り返し、β線、γ線も放出されていることを学びました。 また、自然放射線といって、身の周りには微量ではあるが放射線があるということも学びました。 その後、各自でマントル、ガイガーカウンター、遮蔽物のセッティングや測定方法を考え、マントルから放出されている放射線を種類別に測定してもらいました。 最後に測定状況、結果を発表してもらい、素晴らしい点、改良すべき点について議論を行いました。


ガイガーカウンターとマントルの間を紙で遮蔽することで、α線を通さないようにして測定をしている。

ガイガーカウンタのデータをPCで確認しながら実験を進めている。(その1)

ガイガーカウンタのデータをPCで確認しながら実験を進めている。(その2)

発表風景

受講したELCASメンバーの感想文

  • 色々自分で考えておもしろかったです。ウランガラスにブラックライトを当ててみたいです。周りに意外と放射線があっておもしろいですね、恐いけど。
  • 日頃なかなか出来ない実験ができたのは本当にうれしかった。また、自分が作ったガイガーミュラー管を使ってできてよかったと思う。
  • ランタンのα線を出すのにとても苦労した。環境放射線のことやその他諸々のことを考えると、ランタンのα線だけを測定するのはもっと大変だと思った。
  • 様々な参考書で、α崩壊とかβ崩壊と見たことがあり、とても「かっこいい!」と思っていたので、今日は話を聞けてとても良かったです。今後は友達と遊ぶときは、少し意味を知った上で「α崩壊!!」と叫んで闘ったりできます。
  • 今日は実験がメインの講義でしたが、単なるデータの観測に終わらず、誤差の範囲を調べたり、データから得られる考察を発表したりと、高校では行われないきめ細かい授業を受けることができました。
  • もう少し時間がほしかった。計算法、測定法とも、もう少し改良したかった。

天文

野上大作助教 
チューター:前原裕之(機関研究員),大島誠人(修士課程)

実施場所:理学研究科4号館5階会議室

3グループに分けて、B,V,Icの各バンドの測定を分担して行い、その結果をまとめて3色分の光度曲線を作成した。 光度曲線をもとに、光度変化に伴って星の色がどのように変化したのかを調べた。

また、B-V,V-Icの値から、極大・極小時に星の有効温度がどうなっていたのかを調べた。


パソコンで光度曲線を作成。

明るさの変化の様子
求めた星の温度を黒板にまとめたところ

受講したELCASメンバーの感想文

  • エクセルを使って曲線を描いたりするのは普段使い慣れていたので、時間がかかってしまった。もう少し練習すべきだと思う。
  • 私は何回か休んだので、ついていけなくなるのではないか、という不安もありましたが、詳しく教えて下さり、とても勉強になりました。 何気なく語られる宇宙の色んな数字も、求め方を知ると、見方が変わるように思いました。 次回も頑張ります。
  • 今日は今までやってきた処理の結果を使ってグラフを作り、星の温度を求めるというもので、時間はかかりましたが、データを使うこと遠く離れた星のことを調べることができるということに感動しました。
  • パソコンを使いこなすことができなかったので、スムーズに解析できなかった。 数値でミスをしたことが多かったので、もっと慣れるようにしたい。
  • 今回は前々回同様、PCを使っての講座だったが、前回エラーで終って心配だったが今回はうまくいった。グラフの作成はExelを使った。 いろいろ難しかったけど、最終的には理解できたのでよかった。
  • 1回前(2週間前)が抜けたので、もしかしたらついていけないかも、と思ったが、前々回のもので、少し復習しておけばよかったと後悔しています。 今回もまたまた大変難しく、何が何だかさっぱりなことばかりで頭が痛くなりましたが、先生たちが優しく教えてくれたので、とてもわかりやすかったと思います。 理由をつけて詳しく行為の意味を知るのは頭を使うけれど、とても楽しく感じますし、深く納得できることばかりです。 計算も一見簡単に見えるのですが、用語が難しくて…。 次回に向けて頑張っていけたら、と思います。
  • 望遠鏡で観測した光の波長を解析するのにこんなにも多くの時間がかかるなんて、… 研究者は大変やな~。 天文っていうより物理っぽうなと思った。 3つのフィルターで撮る3種の波長の光で多くの情報が得られることがわかった。

生物

岩部直之 助教 
ボランティア: 佐々木剛(研究員)
実施場所:理学研究科1号館109、111号室

立襟鞭毛虫(たてえりべんもうちゅう)は動物に最も近縁な単細胞性の原生生物と考えられている。

本実習では、簡単な解説の後に、立襟鞭毛虫(Monosiga ovataおよびStephanoeca diplocostataの2種)を倒立型顕微鏡を用いて観察した。

次に、立襟鞭毛虫と動物の違いを理解するために、ヒドラ(刺胞動物)およびアルテミア(節足動物)を実体顕微鏡を用いて観察した。

遺伝子の情報を用いて推定した生物の系統関係の図(分子系統樹)を見ながら、動物、植物、菌類の多細胞化が進化の過程でそれぞれ独立に起きたことを考察・理解した。


倒立型顕微鏡を用いた立襟鞭毛虫の観察。

実体顕微鏡を用いたヒドラの観察。

受講したELCASメンバーの感想文

  • 海綿や立襟鞭毛虫について様々な知識を得ることができた。特に、海綿のえり細胞の位置や構造などは、自分が思い込みで考えていた部分もだいぶあることが分かり、興味深く感じた。顕微鏡やスケッチを、もう少し上手く見たりかいたりできるようにならなくてはと思った。
  • 今日は新たな「立襟鞭毛虫」を観察することができました。この生物は、動物に最も近縁な単細胞生物だということをきいて、不思議な生物だなと思いました。「立襟鞭毛虫」を実際に見てみる上で倒立顕微鏡といって、レンズが台の下にある顕微鏡を使って見ることもできました。学校などでは使えない顕微鏡だったので使うときはワクワクしました。「立襟鞭毛虫」は、頑張って鞭毛を動かして進もうとしていて、とてもかわいかったです。もっと奥の深い研究をしていって、「立襟鞭毛虫」のナゾを明らかにしてみたいと思いました。