ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2009年11月7日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:丸橋広和(修士課程 1回生),竹内光(修士課程 1回生),広瀬稔(修士課程 1回生)

実施場所:理学研究科3号館109号

<進度>
Bertrand仮説の証明を終わらせた。次回は第31章のHow to guard a museumをやる。
<方法>
高校生に本の予習をしてきてもらって、前で発表してもらう。もっと理解が進むように助言したり、周りの子が分かっていなそうならより丁寧に記号の説明やモチベーションを説明しよう努めた。
<課題>
ただ、発表している子以外の子は必然的に参加率が低くなってしまう(発言する機会が少ないだけでなく、内容がもともとよく消化できている子は、この時間を退屈に過ごすことになってしまう)ので、もっと全員が参加できるような形に出来たらより面白さを感じてもらえると思う。

受講したELCASメンバーの感想文

  • 一応理解はできた。まだなれないところもあるので頑張りたい。
  • 今回でベルトランが終わりました。「n<p≦2nとなるpが存在しない」とまず仮定し、そこから矛盾を見つけ存在することを証明するのはすごいと思いました。
  • 学校でまだ習っていない記号が使われており、大変でしたが、どうやって証明すれば良いのか考えも付かないような定理が目の前できれいに証明されていくのがとても面白く、”素数”に対する興味もわきました。
  • 証明が終わると気持ちがよいです。何週間もかけて証明してきたBertrand仮説が証明できたとき、達成感を感じました。これからも、このやりきった感じを求めて、頑張っていきたいです。
  • 今日の内容は理解できてよかった。自分の発表のときはとても緊張して上手く説明できなかった。
  • 分かりにくい講演ですみませんでした。バートランド仮説がよく分かりました。(ちなみに今日も実力テストの2時間後に講演がありました)
  • 久々だったのでずい分と忘れていた。困りはしなかったが、予習しないといけないな・・・。

物理   

常見俊直(研究員)

チューター:田城 迅(学部4回生)、野沢勇樹(学部4回生)

実施場所:理学部5号館511号室

まず放射線と呼ばれるα線・β線・γ線についての講義や太陽の核融合の講義を受けた。次にRutherford散乱で用いられる金箔の薄さを、実際に金箔を扱うことで体感した。Rutherford散乱は金箔にα線を当てる実験であり、α線は目で見ることができないため、α線を観測する方法として「霧箱」を用いる手法がある。今回はガスランタン用のマントルをα線源とした霧箱を1人1個ずつ作成し,実際にα線の飛跡を観測した。


 
放射線についての講義
金箔を下敷きの間にはさんでいる様子 各自作った霧箱でα線の飛跡を観測中

 

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • (金箔を用いた工作では)金箔が静電気ですぐにぺりっとはがれるので、うまくはるのは難しかった。霧箱ではかなりきれいにα線が確認できたのでとても面白かったです。
  • ちょっとしたことで破れたり、光を通したりする金箔の薄さに驚きました。霧箱は時間がなくて急いで作ったけど反応が見れてよかったです。
  • (α線を)なかなか見ることができない事実に悲しくなりました。普段からよい行いをしておこうと思います。実験は失敗のようでしたが楽しかったです。
  • 霧箱でα線が見えたのはすごく感動しました。
  • 霧箱は上手に製作で来たと思います。みんなきれいなα線が見えました。
  • 金箔がちょっときれいに貼れてうれしかったです。放射線関係のことは今後詳しく学ぶということでとても楽しみです。
  • 霧箱作りではα線の通り道がくっきり見えて感動しました。
  • 霧箱を作った。結局自分のものはうまくいかなかったけど、α線が見えておもしろかった。

天文

野上大作助教

チューター:前原裕之 (研究員)、田中淳平(修士課程2回生)

実施場所:花山天文台

第2回実習時に撮影した天体のスペクトルデータの解析を花山天文台の計算機を用いて行った。今回の実習では、カシオペヤ座γ星のスペクトルを撮影した2次元画像から、波長方向のみの1次元データに変換し、スペクトルのグラフを作成して形状を調べた。

スペクトルの解析手順の概要を説明 スペクトルの解析手順を確認
計算機を使った実習中の様子

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 色々な人と知り合えて楽しかった。
  • ひたすらパソコンで… エラーが出た時はショックでした。いつかスラスラしたいなーと思いました。 グラフはきれいに出たのでよかったです。
  •    
  • 7日:スペクトルのデータ解析は難しく、何度もエラーになったけど、楽しかった。 観望会では木星を見た。4つの衛星はもちろん、木製の縞模様もちゃんと見えた。 前に見たときよりもよく見えたのでよかった。
    8日:プレゼンテーションの作成が難しかった。何を書けばいいのかわからなくて…。 シーロスタット望遠鏡や分光器を見て、(前も見たけれど)やっぱりすごかった。 分光器で見える虹はとてもキレイだった。 観望会では木星を見た。4つの衛星はもちろん、木製の縞模様もちゃんと見えた。前に見たときよりもよく見えたのでよかった。
  •   
  • 天文について:パソコンが難しかった。もっとちゃんと理解できるようになりたい。 全体について:最初プレゼンテーションは面倒でいやだなと思っていたが、終わってみると逆に他の人の発表が聞けて良かった。 自分の発表は反省点がいっぱいある。もっとちゃんと準備しておきたかったが、まとめきれなかったこともたくさんあった。 宿泊は少し疲れたが貴重な体験だったと思う。
  • 初めての前提合宿で、いろいろな分野の人が面白い事に興味を持っていたり、すごいことに挑戦しようとしているのを知って、とても驚いた。 自分もこれからは様々なイベントに参加して、科学関係の経験を積んでいきたいと思った。
  • 全体での宿泊研修ということで、ほかの分野の人とも交流を深めることができました。

生物

篠原 渉助教

チューター:小森 晴香(修士課程1回生)、掛澤 明弘(修士課程1回生)

実施場所:植物園の実験室

目的:野外の身近な植物からDNAを抽出して、塩基配列を決定し、植物の同定を行う
第1回目の本日は、実際に植物園内を歩き、植物を採取し、それを用いて、DNA抽出作業を行い、葉緑体の遺伝子をPCR で増やした。 

植物園内で採取する葉を選んでいるところ
実験室に戻って葉を、破砕しています
薬品はピペットを使っていれていきます。

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 高校でDNA抽出をしたことがあるが、そのときは、洗剤を入れたりして大変だったのに、今日は意外に容易くできたので驚いた。
  • 今回の体験学習は、ピペットや遠心機などといった学校の科学の実験では、出来ない様なことや、実験用具が使えたので、とても良い体験になったので良かったと思います。 2時間だけの短い間でしたが、DNA抽出ができたのは、とても良い内容だったと思います。今まで、テレビなどでDNAの事を見ていましたが、ここまで身近に見ることが出来たこともまた、とても良い体験で良かったです。今日は一つ一つの作業が充実していて、とてもよかったです。
  • 今日は、DNA抽出をしました。ちょっと臭かったけど、とても楽しかったです。初めて見た器具も触れて、貴重な体験ができて、よかったです。ちちゃーーーーーーーいDNAもとれてうれしかったです。
  • 今日はDNAを抽出しました。学校の授業で葉をつぶして、ひたすら分離させると(DNAは忘れたけど)ミトコンドリアなどが出てくるというのを習ったのを思い出しました。使った薬品が意外とくさかったです。DNAは5mm四方ほどからちょっとしかでてこなくて、予想と違いショックでしたが、こんな小さいのに植物の成長を決定づけるのはすごいです。
  • DNAを取り出す過程で初めて使う道具や初めて見る機械があって、何をするのも勉強になりました。微量の液体をピペットで吸い出す作業はとても神経を使いました。でも何度もピペットを使ったので使うのが少しうまくなったと思います。教えてくださった方々は説明がとても丁寧で、わかりやすくて助かりました。ありがとうございました。
  • 植物からDNAを抽出する作業をした。学校でやったのより複雑で細かくて(臭くて)面白かった。
  • 植物のDNA抽出は初めてで、とても興味を持ちました。ピペットマンを使った細かい作業が多くて大変でしたが、とても楽しかったです。まだ実験の途中なので、次回が楽しみです。
  • 今日はDNAを取り出しました。植物園に行き、自ら選んだ葉を使用したのでより興味深く実験できました。初めて見る形のピペットなど、新しい実験器具も出てきましたが、使い方も丁寧に教えていただくことができよかったです。疑問もわかりやすく説明してくださって、理解が深まりました。遠心分離器にかけるごとにきれいな層が出来上がり、感動しました。高校では教科書の中だけの世界だったので、すごく楽しかったです。今日は2時間だけだったので、少し残念でした。次回もよろしくお願いします。

化学

熊崎 茂一准教授

チューター:長谷川 慎(博士課程2回生)

実施場所:理学部6号館5階学生実験室

光合成の仕組みに関する生物的・分子科学的説明。物理化学、分光学の基礎知識の講義。次回使用する実験装置の原理の説明、およびそれで得られるデータの例。

光合成の仕組みの説明 物理化学の基礎知識の講義
次回使用する装置で得られるデータの一例

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今回は生物よりの内容だったので、とても興味深かったです。光合成という小学生でも知っていることがこれほどまでに深く難しいとは思いませんでしたが、でもだからこそこのような分野っていいなと思います。図解もたくさんあり、なじみやすく先生のお話も丁寧で面白く思いました。有意義な時間ありがとうございました。
  • 最先端の研究がどんなものかがよくわかった。ひとつは自分たちの理論を立てて、その理論を証明すること。しかしそのためには測定する機械や試料を自分で考えてやらなければならない。内容については大まかにだけれども理解できた。
  • 光合成の反応が光による還元反応だと知り、植物(生物)の化学反応を光(物理)で研究しているので、科学にははっきりした境界がなくていろいろな要素が混ざってるなと思いました。
  • 今までに習ったことのない化学の分野で、はじめは分からなくて難しかったけど、実験の映像を見ることによって、少し分かった気がします。化学にもこういう分野があるのを知り、驚いた反面、興味がわきました。次回は実験を間近で見れるようなので楽しみです。
  • 今回は途中からの参加でほとんどお話も聴けないままでしたが、資料等を通して、来週の実験までに少しでも理解を深めたいと思います。
  • とても興味深かったが時間が少し足りずに後半駆け足になってしまったのが残念でした。難しさもちょうどよい感じでまったく分からないわけでもないが分からないところもたくさんあって二週間後までには考えられればよいと思う。生物の話のほうが化学の話よりも多いくらいで、オープンコア講座の先生もおっしゃっていたように様々な分野も研究することも大切なのだと感じた。
  • 光合成についてあまりよく分かっていなかったけれど今回の講義で少しは分かるようになった。ここまで葉緑体について分かっていて光合成についても分かっているのであれば将来的には人工的な光合成を起こして環境問題が解決すればいいと思った。