ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2010年1月9日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:丸橋 広和(修士課程 1回生),竹内 光(修士課程 1回生),広瀬 稔(修士課程 1回生)

実施場所:理学研究科3号館109号

ラテン方陣を完成させる章の途中。共役なラテン方陣について説明してもらった。Lemma.1とLemma.2を説明してもらった。



受講したELCASメンバーの感想文

  • 難しかったです。証明の書き方を工夫した方が良かったなと思いました。あと、もっと理解した方が良いなと思いました。
  • 今日はラテン方陣をやったのですが、Lemma2のf_{l-1}>=2とf_{l-1}=1となるところがとても難しく、分かったらすごくスッキリしました。
  • 今日の内容は難しかったです。「何が一番難しいのか?」と考えてみると、「1」、「2」、「3」、・・・などの世界ではなく「n」の世界で証明しなければならない点だと思います。「1」、「2」、「3」ならば実際に試行することができるのですが、「n」となると超抽象的で困難になってしまいます。なんとか「n」で論述することに慣れたいと思います。
  • 今日の内容はほとんど理解できなかった。やはり数学は難しいと思った。
  • 講義を聞いている間はよく分からなかったが、残ってチューターの人に教えてもらったので、ほとんどの部分が理解できた。

物理   

米沢進吾(助教)、常見俊直(研究員) 

チューター:服部 泰佑(大学院1回生)、家 哲也(大学院1回生)、 野沢 勇樹(学部4回生)、渡邉 大樹(学部3回生)

実施場所:理学部5号館511号室

前回の宿題で出た「ゼロ抵抗の測り方」について2班に分かれて話し合い答えを導き出した後、実際にその方法を用いていろいろなものの抵抗を測った。また、この方法を用いて超伝導体が低温でゼロ抵抗になることを確認した。講義では量子統計力学の「Bose粒子とFermi粒子」について学んだ。それによって低温でも電子が止まらずに、電流が流れるという現象を説明した。


 
話し合った宿題の答えを発表
4端子法を用いて電気抵抗を測定 量子統計力学の講義

 

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 前回の宿題にはとても手こずりました。ヒントをいただいたり、グループで話し合ったりして答えがわかり感動しました。4端子法を思いついた人を尊敬します。
  • 超伝導体を液体窒素につけて、抵抗がどんどん下がって0になったのが感動した。動体と絶縁体の違いがフェルミエネルギーの考え方から理解できるのもすごいと思った。
  • 冬休みの宿題が難しかったです。4端子法を使ってみんなでたてた考えが大体あっていてよかったです。
  • 接触抵抗の話はグループで解けて納得もできてよかったです。最後の話は難しかったですが、フェルミエネルギーが電子の振る舞いに関係があると知って、もっと勉強したいと思いました。
  • 今日の話ではフェルミエネルギーの計算がわかった。4端子法は宿題で考えた時は全然わからなかったけれど、解説をきいてよくわかった。
  • 実験では超伝導体が0Ωになることを4端子法を使って測ってみて、0.00002Ωと表示された時は盛り上がった。
  • ゼロ抵抗の測り方についてそれぞれに意見をだしあって考えるのは面白かったです。量子力学的なりゅうしの性質についてのお話では、どうして低温になっても金属中の自由電子が固化せず動けるのかとてもわかりやすく説明してもらえてよかったです。

天文

 

チューター:前原裕之(研究員)、田中淳平(M1)

実施場所:花山天文台

前回までに解析したスペクトルデータについて、分光標準星を使って強度補正を行った。補正後のデータと黒体放射のスペクトルを比較し、それぞれの星の温度を求めた。

IRAFでスペクトルデータの強度補正を行っているところ さまざまな温度の黒体放射のスペクトルと観測で得られたスペクトルの比較
観測と黒体放射のスペクトルがよく一致した

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日は割と簡単な作業だった。
  • 今日でスペクトルの解析が終わった。パソコンが難しかったけど、まぁまぁ楽しかった。
  •    
  • コンピュータを使った実習は、今までの会はよくわからないことが多かったが、今回は何をしたらいいのかよくわかった上で行えたので、やっていて楽しかった。 意味を理解しながらパソコンを扱えるようになりたいと思う。
  • 今回の強度補正は興味深い内容だった。
    細かく補正をしていくことはなかなかしんどかったが、結構ぴったり合った時は感動した。
    このような地道な作業の上に現在の天文学が支えられているのだと考えると、やはり学者というものはすごいと思った。
  • 今日はスペクトルの強度補正をしました。
    パソコンの作業は割と簡単で、今日はいつもより理解できたので楽しかったです。
    グラフにぴったり合った時は、思わずおおーっと言ってしまいました。
    楽しかったです。
  • 今日のパソコンの作業は打つことが少なく以前よりよくわかった。
    グラフを作ってどのくらいの温度かを推定した。
    天文の観測にはいろいろ補正しなければいけないことを知り、グラフを作成したり考察したりするのにパソコンは欠かせないものだと思った。
  • パソコンでやる作業の概念がやや難しかった。
    明るいと青白く、暗いと赤っぽくなるというのは知っていたけれど、グラフの数値などが入ってくるとややこしかった。

生物

高田彰二(理論生物物理学 准教授)

チューター:寺川 剛(修士課程1回)坂井冬樹(修士課程1回)

実施場所:理学部1号館 高田研究室

生物分野の体験学習では、コンピュータを用いて蛋白質の構造を見て もらった。蛋白質の一例としてタミフルの標的であるノイラミニダーゼを 用いた。最初にインフルエンザウイルスの自己複製機構を解説し、次に ノイラミニダーゼについての説明、その蛋白質を標的とする薬である リレンザ・タミフルについて説明した。その後、コンピュータを用いた実習 に移り、蛋白質の構造情報をProtein Data Bankからダウンロードさせ、 Rasmolという蛋白質の描画ソフトを用いて観察させた。Rasmolの使い方 に慣れた後、タミフルの結合しにくいH274Y変異株が、リレンザと結合 することの原因を考えてもらった。最後に解説をし、実習を終えた。

 
実習風景(1)
実習風景(2)
実習風景(3)

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • いつも生物の実習は顕微鏡をのぞいたり実験したりなので、パソコンのみを使って考える生物は新鮮な感じがしました。普段よく耳にするタミフルの構造を画面上で見るとすごく複雑でした。今まで薬そのものの形しか知らなかったのでイメージが少し変わったような気がします。
  • たんぱく質の構造をいろんな図を使って表すことでより理解が深まりました。手順どおりにコマンドを入力するのも普段しないので手間どりました。ノイラミニダーゼが変異するとどうしてタミフルが効かなくなるのかということについて考えてみて、自分では難しくて答えはでませんでしたが少し薬について理解できました。後で説明してもらって「なるほど」と納得し、感心しました。すごくおもしろかったので家でもやってみたいと思います。
  • 今までとは違って、ずっとパソコンに向かい合ってするのは新鮮だったのでよかった。ウィルスの薬についてこうして勉強できたのは嬉しかった。
  • 今回はRasmolというソフトを使って、インフルエンザのたんぱく質の構成と、なぜ、タミフルやリレンザが効かなくなっていくかを探求しました。思ったより、多くの専門用語が出てきたので、少し難しかったですが、分かり易い説明だったので、とてもよかったです。また、多くの勉強も出来てよかったです。
  • 今日はタンパク質の構造をPDBから引っぱってきて解析した。全ての作業をパソコンでやるというのは初めてだったのでちょっと楽しかった。あんな風に見るタンパク質も面白いなぁと思った。
  • 最初、今日の体験学習はPCを使ってやると聞いたとき、ちょっと怖かったですが、実際に操作してみると楽しかったです。PDBからタンパク質の構造をもってきて、Rasmolを使ってくわしく見るのは、初めての経験でとても楽しかったです。両方ともフリーのソフトでダウンロードできるらしいので、ぜひやってみたいと思いました。

  • 今日はrasmolを使って、ミオグロビンとインフルエンザのたんぱく質構造データを見ました。インフルエンザウイルスが他の細胞にうつるのを防ぐには、ノイラミニダーゼというたんぱく質の動きを止めればいいそうです。今回はパソコンをいっぱい使いました。楽しかったです^^

化学

武田 和行(講師)、前里光彦(助教)

チューター:谷田川達也(4回生)、貞清正彰(博士課程1回生)

実施場所:理学部6号館558号室、375号室

今回は2つの研究室が分担して実験・実習にあたった。
有機物性化学研究室:TTFとTCNQをアセトニトリルに溶解させ、混合することにより、有機金属TTF-TCNQの合成した。ろ取・洗浄・乾燥したTTF-TCNQ、および原料の電気伝導度をテスターを用いて測定し、両者の伝導度を比較した。

分子構造化学研究室:核磁気共鳴法が化学においてどのように利用されているのかを説明しました。簡単に核磁気共鳴法の方法や、考え方について学んだ後、講義で学んだ内容をもとに、実際の計測器の一部を作成しました。最後に、当研究室の実験室を見学し、来週の実験で使う器具について簡単な説明を行いました。

 

電子天秤で原料を量りとるところ。※顔が映っているのは助教の前里先生です。 アセトニトリルに溶解させたTTFとTCNQを混合し、TTF-TCNQを合成しているところ
テスターを用いて、TTF-TCNQ、および原料の電気伝導度測定をしているところ

講師の武田が高校生に対し、核磁気共鳴法を行う機器の扱い方を説明しています。



地階にある当研修室の実験室を見学している様子です。中央に写された円筒状の超伝導磁石について説明しています。

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 単純に、電気を通すものは金属だけと思っていたので、有機物も電気を通すことを知って、おどろきました。実際にできたものの構造やそのふるまいをもっと知りたいです。この化学分野にELCASできて、初めて、化学っぽいことをしました。
  • TTF、TCNQという2つの物質をつかって、電気を通す有機物をつくった。今までの中で一番、自分が想像していた"化学"の実験に近かった。
  • 本日のテーマは電気を流す有機物ということで、2つの電気を流さない有機物からそれをつくるということでした。最初に、ある程度のことを説明してもらい、それがとても理解しやすく面白く思えました。実験の方は説明を基に、加熱溶解や吸引濾過などで比較的簡単にできたけれど、結果を見ていたらそれが一見でわかり、凄いと思いました。
  • 核磁気共鳴という言葉は初めて聞きましたが、MRIなどいろいろな場所に利用されていて、結構身近に感じました。物理や数学が混じっていて、ややこしそうでしたが、説明が分かりやすくて、少し分かりました。フーリエ級数の説明を聞いて、フーリエさんはすごいと思いました。
  • 物理的な内容が多く、初めて知った言葉もありましたが、分かりやすかったです。特に、数学のフーリエ解析はすごいと思いました。NMRという現象がたくさんの分野につながって使われていることを知ることができて良かったです。
  • MRIは知っていたいましたが、その原理に核磁気共鳴という物があることは初めて知りました。人間に害を及ぼすことなく中身が見られるのは不思議だったけれど、それ以上に、物理や生物、工学など幅広い分野に応用されている技術だということが、とても興味深く感じました。
  • とても分かりやすい説明でした。核磁気共鳴という言葉は聞いたこともないものでしたが、これほどいろいろな事に使われているというのは驚きでした。超電導磁石も初めて見ましたが、1つの部屋にたくさん置かれていたのでとても驚きました。1度電流を流すだけで動き続けるのは、原理上分かっていても、どこか実感の湧かないところがありました。実物を見てみて、これほどすごい機械なら納得できると感じました。
  • 今回は核磁気共鳴ということで、できるか不安でしたが、とても丁寧に説明していただけて分かりやすかったです。今まで、「核磁気共鳴」という言葉を聞いたことがなかったのですが、とても身近なものだと知り驚きました。プローブを次回のために作り、ますます次回の実験が楽しみになりました。