ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2009年12月5日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:丸橋 広和(修士課程 1回生),竹内 光(修士課程 1回生),広瀬 稔(修士課程 1回生)

実施場所:理学研究科3号館109号

美術館の章が終わった。すべての多角形が三角形に分割できることを説明してもらった。球面幾何や双曲幾何というものがあることを説明した。その後ラテン方陣を完成させることを考える章に入った。

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今回も内容は難しかったですが、2次元の話を3次元にうつしたり球面にうつしたりしたのがとても新鮮で楽しかったです。他の問題でも次元を変えたりして考えてみようと思いました。
  • 今回もいつものように難しかったです。しかし回数を徐々に重ねていくうちに考えるこつが分かってきたような気がします。今日はテキストの内容についてだけでなく、そこから発展して、様々な幾何の紹介もしてもらいました。それも興味深かったです。様々な知識をみにつけていきたいです。
  • 今回は自分の発表の番だった。うまく説明できなかったけど、無事に終わってよかった。
  • 全ての多角形はいくつかの三角形に分かれることが証明された。ラテン方陣にも取りくんだ。少し難しかったがよく分かった。

物理   

今井 憲一教授、 常見 俊直研究員

チューター:渡辺 大樹(学部3回生)、田代 迅(学部4回生) 、野沢 勇樹(学部4回生)

実施場所:理学部5号館511号室

物理学は20世紀に「量子力学」と「相対性理論」によって飛躍的に発展した。今回の体験講座ではその2つを取り上げた。 前半は「量子力学」によって説明される、紫外線を蛍光鉱石にあてることで鉱石が蛍光を発する現象を確認した。また1月から使うことになる「プラスチックシンチレーター」を見せ、それに紫外線を当てることで発するシンチレーション光を確認した。 後半は今井さんによる「特殊相対論」の講義を行った。特殊相対性理論がつくられることになった歴史的背景から始め、運動しているものは時間の進み方がゆっくりになるということまで勉強した。今回の講義で、来年観測することになる「ミューオン」の寿命が短いのに、地上まで届くことができる理由を理解した。


 
蛍光鉱石に紫外線を当てて蛍光を確認している様子
特殊相対論の講義 Lorentz変換の式の導出

 

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 紫外線や赤外線の実験では意外なものが光って面白かったです。放射性鉱物はオレンジや黄色に光ったり、ホタル石や白いものは青白く光ったりしてとてもきれいでした。
  • 相対論の講義は思ったより理解できてうれしかったです。家に帰ってローレンツ変換をやるのが楽しみです。
  • 速く動き回ると時間が遅れるというのを聞いていましたが、なんでそうなるのかわかってうれしかったです。
  • 難しかった。でも相対性理論に至るまでの背景とかもあって楽しかった。家でローレンツ変換を導いてみようと思う。
  • ガリレイ返還についての講義が面白かった。家に帰ってローレンツ変換の導出の計算の続きをやりたいです
  • 相対論はまだ(「スピンの謎」に比べて)理解しやすかったですが、Maxwell方程式がわからないのでもし機会があれば勉強したいです。
  • 非常に難しかったです!ちゃんと理解できたのは歴史だけ・・・かもですが、今後もがんばります。
  • 相対論自体の式は大体わかったかな?という感じです。式変形自体は多少わかったのですが、最初のほうに出てきたMaxwell方程式がつわもので難しかったです。

天文

チューター:前原 裕之(研究員)、田中 淳平(修士課程1回生)

実施場所:花山天文台

前回1次元化したスペクトルのデータに対して、ネオン放電管のスペクトルを比較光源として使って、CCDピクセル位置 → 波長の変換を行った。

ネオン放電管のスペクトルを表示 ネオンの輝線スペクトルの波長を調べて入力
波長校正後のスペクトルデータから、水素のHα輝線の部分を表示

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今回はデータを目に見える形にする段階なので何をやっているかよくわからないが、最後までやり遂げて、自分たちが観測した星の構造などが分かるところまで進みたい。
  • 今日はメンバーの大半がテスト前で欠席していて3人で作業しました。 グラフの横軸の単位の置き換えという作業そのものは、短く簡単にまとまっていて、自分が今どんな補正をしているのか、何となくわかったような気がします。
  •    
  • 今日は人が少なくさびしい感じだった。逆に丁寧にやってくださったのでよかった。 相変わらず星のスペクトルの解析は難しく、何度もエラーでよくわからない状態になってしまった。 星のスペクトルのグラフを見ていて、またいつか観測がしたいなとと思った。 スペクトルの画像データが立体(三次元)になっていて、横に輪切りにしたグラフや縦方向からみたグラフというのが、どうも平面の画像からは想像しにくかった。 グラフの横軸の単位をÅに変換している作業というのが分かった。

生物

篠原 渉助教

チューター:小森 晴香(修士課程1回生)、掛澤 明弘(修士課程1回生)

実施場所:植物園の実験室

目的:野外の身近な植物からDNAを抽出して、塩基配列を決定し、植物の同定を行う
第3回目は、前回ラべリング作業を行いシークエンスして、DNAの配列がわかったので、複数の配列を一つにし、データベースと照合して、自分が実験した植物が何か同定した。

 
パソコンをつかってDNAの配列をチェックしています。
これが、シークエンスの結果です。。
データベースと照合すると、こんなにたくさんの植物がでてきました。このなかから妥当なものをみつけます

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日は複数のDNAの配列を整理して1つにし、データベースと照合して、自分の調べていた植物は何かを調べました。自分のとった植物がなんの植物かわかってとてもうれしかったです。塩基配列ってすごい。
  • 今まで2回実験した結果がわかり、とてもワクワクしました。DNA配列がうまく読み取れなかったところが多くて少しショックでした。私が調べた植物の塩基配列をAGCTで4色をつかって波線状に表すと、終始抑揚がなく、ずっと一定のリズムのような感じで静かでした。とってきた葉はトゲトゲしていて、見た目とギャップを感じました。グラフを見て配列をチェックしているとき、チューターさんがとても頼もしかったです。最終的に私が調べた葉はアオキだとわかりました。
  • 今まで2回で実験をした結果が、こんなに簡単にPCでわかるなんて驚きでした。DDBJは初めてつかったのですが、私にとっては全くわからない塩基配列が、数秒で植物を特定できるので、とても便利だと思いました。しかし、植物の候補が多すぎて、特定するのが難しかったです。この3回の実験を通して高校では学べない多くのことが学べました。いくつか、もっと詳しく調べてみたいなと思いました。
  • 最初、パソコンを使ってDNAの解析をしました。そDNA情報をDDBJ(DNA Data Bank of Japan)で照合した結果、「ムクノキ」と出てきて、実際に自分が採った葉っぱとあっていたのでよかったです。今まで数々な作業をして、このDNAの配列の同定にまで至ったわけですが、最後に、このような結果となって本当に良かった思います。最後まで、作業を丁寧に指導してくださった担当の方やチューターの方々、本当にありがとうございました。
  • とってもおもしろかったです。ただ適当に”T”,”C”,”G”,”A”と並んでいるんじゃないということがわかりました。リボソームが活動を止めたりする暗号や開始する暗号があるという話も聞けて、楽しく実習で来ました。配列の整理も初めてしたけど、うまくできてよかったです。普段、自分が雑草だと思っていた植物にも、あたりまえだけど、ただの雑草じゃなくて、ちゃんと分類されているんだなあって思いました。
  • 実験のどこで失敗したのか…ちょっとショックです。でも、一応自分のデータから植物の種名が割り出せたし、失敗は成功のもとって言いますしね。
  • 私のDNAの配列は少しうまく読み取れていない部分があり、正しく読み取るのはパズルみたいで大変でした。しかし最終的には、DNA配列をデータバンクで照合した結果と、自分で選んだ葉の種名が一致したのですごくうれしかったです。二回分の実習の最終回ということで、結果が分かり達成感がありました。楽しかったですありがとうございました。

化学

八田 振一郎(助教)

チューター:岩田 学(修士課程1回生)、淡野 秀行(学部4回生)

実施場所:理学部6号館 表面化学研究室

表面化学の実験における、表面の格子の形と回折像の関係を学習して頂きました。具体的には、イラストレーターを用いて繰り返しパターンを作成し、それを透明なシートに印刷し、そのシートに緑色のレーザー光を当てることで回折像を得ました。

イラストレーターを使ってオリジナルの回折格子を作っています 回折に使うレーザーの説明をしています。
自分で作った回折像を見ています。きれいな模様が出来ました。

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今回は、表面化学という分野の実験ををした。レーザーを使って回折をする実験で、 パソコンを使って線や絵を描いて、それで回折がきちんとするのかを調べた。 きれいにできてよかった。
  • 色々なソフトを使いこなせないと研究者にはなれないなと思いました。 今日の話は本でも一部読んだことがあって、より一層理解が深まるものとなりました。
  • 今回の講義は表面の科学ということで、結晶格子や結合など、自分にも比較的分かり易い 題材でいつもより興味深く聞くことができました。単位格子などは授業で少しやっただけの 少ない知識でしたが、以前別の体験でやった時よりも、実験や講義を通して理解が深まった ように感じました。